2017-01-01から1年間の記事一覧

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編ヒヴァ5

私の背中を突っついたのは、初日にイチャン・カラで出逢ったお土産屋さんの女の子だった。 「昨日は友達の商品買っちゃうんだもん!今日は私の店も見てってよ!」 笑いながら彼女は言う。昨日、私は彼女に声をかけられたのだが、彼女の店に行く途中、彼女の…

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編ヒヴァ4

ヒヴァには大小約20ものマドラサがあり、それらは現在博物館として利用されている。その幾つかを巡ってみた。それぞれテーマがある様で、中には「取り合えず集めてみました」的なものもあるが、面白いものもある。 音楽をテーマとしたカーズィ・カラーン・マ…

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編ヒヴァ3

イチャン・カラの西門と東門、北門と南門を結ぶ線が交わる場所にジュマ・モスクがある。ジュマとは金曜日の事、金曜日はイスラームの礼拝の日。拠ってイスラームの大切な一日である金曜を冠したモスクは世界中にあるが、大抵街の中心となるモスクである事が…

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編ヒヴァ2

満を持してヒヴァの内城、イチャン・カラのメインゲート、西門オタ・タルヴァザの前に立った。先ず目に飛び込んで来るのが太く蒼いミナレット、カルタ・ミナルだ。カルタとは現地語で低いを意味するが、本来はウズベキスタン一背が高いミナレットになる筈だ…

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編ヒヴァ1

観光の核心であるイチャン・カラを後に回し外城のデシャン・カラから先に回った。未舗装の路地を気儘に曲がり、観光客等入りそうも無いチャイハネで昼食を摂った。 田舎の路地裏の支配者は悪戯っ子達だ。それでも今風なのは彼等が携帯に興味津々である事。私…

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編キジルクム・デザート

朝早く、私を乗せた車はブハラを立ち、ヒヴァを目指すべく一路西を目指した。郊外に抜けると緑はやがて色を失い数を減らしていき、やがて小さな草が生えるだけとなる。ドライバーが私に告げる。キジルクム・デザートに入った事を。 desartと言う英語を日本語…

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編ブハラ4

乗り合いバスの旅は行きはヨイヨイの旅だ。目的地は大概観光名所だから話も早い。目的地ばかりに意識がいって、自分の乗ったバス停の名前を見落としてしまう。 最初に向かったのはストライ・マヒ・ホサ宮殿。此方は街の中心部に残る史跡よりずっと新しい宮殿…

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編ブハラ3

ブハラ二日目は街の有名処を見学した。ブハラの街の通りが交差する様な要所には、小さなドームが連なるタキと呼ばれる建物がある。 昔は旅の商人達のキャラバン・サライ(隊商宿)やハンマーム(サウナ)も備えたバザールとなっており、各タキ毎に販売する…

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編ブハラ2

リャビ・ハウズで腹を満たした後はブハラの街を散策する。ブハラの街は見所と住宅地が解離していたサマルカンドと違い、見所は住宅地と共存している。主だった観光の中心はリャビ・ハウズの西側にあるが、先ず東側から散策を始めた。 東側の見所と言えば四本…

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編ブハラ1

再び列車に乗ってサマルカンドからブハラを目指した。車窓の風景はタシュケント~サマルカンド間よりずっと乾燥したものになった。緑が薄くなっていく、砂漠が近づいている。 ブハラの駅に到着した。終点なので客が一斉に降りていく。スロープで大きな荷物を…

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編サマルカンド5

往き来た道を戻りアラシャブの丘南麗に横たわるシャーヒズィンダ廟群を参拝した。 此処はウズベキスタンでも有数の聖地でありティムール所縁の人々も此処に眠る。またイスラームの預言者ムハンマドの従兄クサム・イヴン・アッバースが殉教した伝説も残り、イ…

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編サマルカンド4

バザールで腹を満たした後更に歩みを進める。バザールの向かいの大通りを越えた小高い丘にはハズラティ・ヒズル・モスクが建っている。木造の柱の下部が極端に絞り込まれている柱が林立するテラスは中央アジアのモスクの代表的建築様式の一つだ。私が日本人…

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編サマルカンド3

レギスタン広場を後にして、ミナレットの上から眺めたヒビ・ハニム・モスクを目指した。その道はバザールへと続く道でもある為、地元の人々が世話しなく行き来していた。シルクロードを代表する移動手段の驢馬車も健在だ。行き交う人々の肌の色も目の色も、…

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編サマルカンド2

グル・アミール廟から西に向かえばサマルカンド、いやウズベキスタンが紹介される時、必ずや取り上げられるスポットであるレギスタン広場に到着する。 レギスタン広場とは砂の広場と言う意味で、サマルカンドの固有の広場名では無く、ウズベキスタンの中心…

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編サマルカンド1

サマルカンドのホテルはロシアが築いた新市街にあった。新市街らしいまっすぐな大通り。逸る気持ちで急ぎ足で旧市街へと向かえば、その入り口にティムールの座像が出迎えてくれた。サマルカンドは彼が造った、彼の大好きな蒼がふんだんに使われた蒼い街だ。 …

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編序章2

私がウズベキスタンを旅するに当たって心配だった事は、ソ連と言う共産主義国家に長らく支配されていた影響がどれだけ残っているかと言う点だった。慇懃無礼な接客、汚れきった傲慢な公安。退廃した雰囲気の暗い街、そこに暮らす抑圧された人々。私は共産国…

シルクロードを西へ!ウズベキスタン編序章1

ウズベキスタン、 1991 ソ連崩壊に伴い解放された中央アジアの国々と共に独立を果たした新しい国でユーラシア大陸を東西に走るシルクロードの中央部に位置する。海に達する為には二回国境を越えなければならない世界でも二つしか無い二重内陸国でもある。(…

シルクロードを西へ!新疆編 最終回

さて、前回の答え合わせからいこう。 1便利店。簡単ですね!コンビニエンスストアです。中国ではこの様にド直球なネーミングがとても多い。 2星と珈琲でピン!と来ますね。そうです。スターバックスコーヒーです。 3此方はマクドナルドです。日本と違い中…

シルクロードを西へ!新疆編12北京

ウルムチを経由して北京に戻った。これ迄中国政府を色々叩いたが、私は異民族を弾圧する政策を許せないだけであって、中国人には何も恨みも無ければ、寧ろ中国史や中国の物語は大好きなので、歴史的見所の詰まった北京は大好きな街でもある。 (正陽門) 今…

シルクロードを西へ!新疆編11カシュガル2

タクシーをチャーターし郊外の見所を回った。アバカ・ホージャ廟にユスフ・ハズ・ジャジェブ廟。イスラームらしい廟建築。 (アバカ・ホージャ廟) (ユスフ・ハズ・ジャジェブ廟) 私を連れた運転手は久々の外国人なのか抑えつけられた感情を吐露する。 「…

シルクロードを西へ!新疆編10カシュガル1

寝台列車を4回乗り継いで、私は遂に今回の旅の終着地カシュガルに辿り着いた。蘭州から3200キロ、西安から数えれば3800キロ。ゴビ砂漠を越え天山山脈を越え、タクラマカン砂漠を越えこの地に到着した。玄奘三蔵はインドの帰路にこの街を訪れている。 これ迄…

シルクロードを西へ!新疆編9クチャ2

郊外からクチャ市街へと戻った。私を市街まで乗せてくれた運転手は漢民族。彼は言う。 「此処周辺は貧しいウイグル族が暮らす地域、何も無い。街を散策するなら何でも揃う新市街が良いよ。」 中国政府の指針によって多くの漢民族がウイグル自治区に流入して…

シルクロードを西へ!新疆編8クチャ1

トルファンを出発し次の目的地クチャを目指す。今回の鉄道の旅の中で一番移動時間が長い部分だ。駅の前の売店で夜食を買い込んだ。中国全体で人気となっているイスラームの麺、牛肉麺のカップヌードルとナン。 中国の鉄道は麺の本場中国らしく、何処でもお…

シルクロードを西へ!新疆編7トルファン2

さてトルファンの観光を続けよう前回紹介した火焔山の近くにある、ベゼクリク千仏洞を訪ねた。此方も先の例に漏れず川の近くの断崖に石窟が掘られ、そこに仏教絵画が描かれている。 しかし此処の絵画は残念ながら敦煌等東部の石窟のものに比べ保存状態が良…

シルクロードを西へ!新疆編6トルファン1

夜汽車に揺られて訪れた次の街はトルファン。標高-100Mは世界で死海に次いで陸上で標高が低い場所。夏の暑さは物凄く、火の国と呼ばれている。またあらゆる意味でターニングポイントとなる街でもある。 先ずはトルファンは交通の要衝、古くは天山山脈を挟ん…

シルクロードを西へ!新疆編5鳴砂山

敦煌で私が楽しみにしていたもの、それは鳴砂山。砂漠は世界中至る場所にあるが、実を言うと我々がイメージする砂の砂漠はそれほど多くは無い。鳴砂山はそんな砂砂漠を堪能出来る場所で有名な場所だ。私はモロッコでサハラ砂漠を訪れて以来、砂漠の魅力にと…

シルクロードを西へ!新疆編4敦煌迄

嘉峪関を出発した。此処から敦煌の最寄り駅となる柳園迄は車をチャーターしての移動となった。嘉峪関を出ると其処に広がるのはゴビ砂漠。砂漠と言っても荒野に近い。最初こそゴツゴツとした岩場が続くがやがて地平線の彼方まで荒野が広がる。 (嘉峪関から楡…

シルクロードを西へ!新疆編3嘉峪関

嘉峪関の駅を降りた瞬間私は余りの寒さに身震いした。砂漠は真夏は猛暑だが、秋が過ぎると極寒だ。10月下旬を甘く見ていた。しかも此処は2000m弱の高地で更に寒波が到来していると言う。寒い訳だ。 私は先ず懸壁長城へ向かった。東は山東省から続く万里の…

シルクロードを西へ!新疆編2寝台列車

夜行列車に乗る為蘭州駅の手荷物預かり所に向かったのだが、オバチャンは私が渡した半券睨んで「あんたの荷物なんて此処には無い!」ってジェスチャーで言う。「そんなわけ無い!」と私が言って、ジェスチャー同士の口論となる。が、オバチャンは閃いた様で…

シルクロードを西へ!新疆編1蘭州

シルクロード、嘗て東西を結んだ交易の道、商人は勿論の事、三蔵の様に経典を求めて旅に出た者もいた。時には覇権の野望を持って、この道を駆け抜けた者もいた。そして今私もその道を旅しようとしている。 旅は北京を経由して蘭州 から始まった。蘭州は現在…