シルクロードを西へ!ウズベキスタン編ヒヴァ2

 満を持してヒヴァの内城、イチャン・カラのメインゲート、西門オタ・タルヴァザの前に立った。先ず目に飛び込んで来るのが太く蒼いミナレット、カルタ・ミナルだ。カルタとは現地語で低いを意味するが、本来はウズベキスタン一背が高いミナレットになる筈だったが、ヒヴァ・ハーン(王)の死により未完に終わってしまったと言う。

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 このミナレットにも建築家の死の謂われが残されている。このミナレット建造の計画を知ったブハラ・ハーン(王)が建築家を買収しブハラにもっと高いミナレットを作る様に命じた為、これを知ったヒヴァ・ハーンが怒りの余り建築家を殺してしまい、その為カルタ・ミナルは未完のミナレットになったと言うのである。

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 カルタ・ミナルに付属する建物ムハンマド・アミン・ハーン・マドラサはヒヴァでも最大級のマドラサ(神学校)だが、現在ではホテルとして利用されている。

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 ヒヴァにはメインストリートを中心にこれでもかと言う程神学校が林立している。この小さな規模の街にこんなに学校が必要な筈は無いのだが、各時代の王が自分の権威を示す為、またイスラームでは喜捨の精神が尊ばれる為、競う様に神学校を建てたからこうなったと言われる。現在では殆どが博物館として公開され、一部がホテルやレストラン、土産屋として利用されている。

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(キョフナ・アルクの門)
 ヒヴァの東西には新旧二つの宮殿がある。西側にあるのはキョフナ・アルク、日本語そのまま古い宮殿と言う意味だ。古いだけあって東側にある新宮殿より装飾は劣るが、旅人がこぞってこの宮殿を訪れるのは、見張り台アクシェイフ・ババに立てば、イチャン・カラの素晴らしい全景を眺める事が出来るからだ。

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 目前には当時から時が止まってしまったかの様な光景が広がっている。右から未完のミナレット、カルタ・ミナル、ヒヴァで一番背の高いイスラーム・ホジャのミナレット、そしてヒヴァの中心に建つジュマ・モスクのミナレット、三つのミナレットが天を目指しそびえている。砂色一色の街並みの所々に蒼が絶妙のワンポイントとなっている。

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 見張り台からの光景のほぼ中央に一際目立つ蒼いドームがある。サマルカンドやブハラでは幾つもの蒼いドームがあったがヒヴァでは唯一の蒼いドーム。バフラヴァン・マフムド廟だ。ヒヴァの人々に一番親しまれている歴史上の人物で、毛皮職人であり、詩人であり、哲学者、そして何より武術の達人、即ちスーパースターだったそうだ。

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 死後彼はヒヴァの守護聖人となった。この廟の中庭の湧き水を飲むと男は強くなり、女は美しくなれると言う伝説があり、ヒヴァっ子が絶えず訪れている。しかし日本人が飲むと、たぶんお腹を壊すだろう。