シルクロードを西へ!新疆編7トルファン2

  さてトルファンの観光を続けよう前回紹介した火焔山の近くにある、ベゼクリク千仏洞を訪ねた。此方も先の例に漏れず川の近くの断崖に石窟が掘られ、そこに仏教絵画が描かれている。

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 しかし此処の絵画は残念ながら敦煌等東部の石窟のものに比べ保存状態が良くない。と言うのも、欧米各国から訪れた、研究と遺跡保護と言う名目の元、窃盗団紛いの壁画の略奪が行われたからだ。そして彼等が保護の名目で彼等の国に持ち帰った壁画の数々は、第一次世界大戦で多くが灰になってしまったのである。

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 残された貴重な壁画を見て驚いた。東部のものと明らかに仏の顔が違うのだ。東部の仏は中国人顔しているが、此方は仏教の故郷インドの面影を残している。仏もまたところ変わればその国に合わせ表情を変えていくのである。

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 ベゼクリク千仏洞からもう少し先に、アスターナ古墳群と呼ばれる太古の人の墓地があり、ミイラが残されていた。夫婦で埋葬されているのがこの墓地の特徴だと言うが、判別法をクイズで出された。一番の方法はシンボルを見つければ一目瞭然なのだが、並ぶ位置でもいも一目瞭然なのだそう。何故なら現在でも中国では男が左、女が右と言う決まりがあり、結婚式でも、街のトイレの並びも同じなのだそうだ。

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 トルファンシルクロードの代表的なオアシス都市ではあるが、最早中国政府の政策により、街の中心部は漢民族の新しい街に作り替えられシルクロードの風情等、街の中央の葡萄棚くらいにしか見出だす事が出来ない。

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 本来暮らしていたウイグル族は郊外に追い出されてしまった。そんな郊外でウイグル族の週一のバザールに出くわす事が叶った。イスラームのバザールは世界の何処でも活気と人情に満ちている。

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 私はそこで名物ハミ瓜を食べた。私は本来、旅先でカットフルーツは避けている。何故ならいつ切ったか解らない状態のカットフルーツは衛生上問題が多いからだ。しかしこのバザールではあっという間に完売し、切るのが追い付かない程。新鮮そのものなのだ。

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 そんなウイグル族の信仰の中心、蘇公塔を訪れた。丸く先に行くほど細くなるミナレット中央アジア独特のデザイン。最早中国文化圏を離れ、中央アジア文化圏に入っている事を示すものだ。西へ、西へ旅が進んでいる実感に浸った。

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 トルファン観光の最後に訪れたのは、トルファンに残るもうひとつの故城、交河故城だ。交河故城は歴史的には高昌故城より古いものの、高昌国が盛んな時は、その影響下にあった国だ。

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 遺跡としては高昌故城より此方の方が保存状態が良好だ。とは言っても、中華的なテーマパーク的な補修はされる事無く、朽ちるがままのその姿が味わい深くて印象に残った。

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 乾燥地帯の中央アジアでは建材となる木材や石材に乏しく、土を健在とする土の文化が発達した。高昌国やこの遺跡を訪れた事で、木の文化圏から土の文化圏に突入した事を実感する。しかし土は経年変化に弱く、保存状態は悪いが、逆に言えば現世まで良くぞ形を残してくれたとも言える。夕暮れが綺麗で物寂しい雰囲気を更に盛り上げてくれた。

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 トルファンではまたひとつ美味しい料理に巡り会えた。ラグメンと言う中央アジアを代表する麺料理だ。野菜炒めをうどんにぶっかけた様な料理で日本人の口に良く合う。いや数多く世界を旅している私がチャンピオン級に美味しかった料理でもある。

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 作り方も簡単だから是非挑戦して欲しい。何て言ったって野菜炒めを作ってうどんにぶっかけるだけっだから。これ何?って聞かれたら、うどん、シルクロード風!と答えれば良い。