シルクロードを西へ!新疆編2寝台列車

 夜行列車に乗る為蘭州駅の手荷物預かり所に向かったのだが、オバチャンは私が渡した半券睨んで「あんたの荷物なんて此処には無い!」ってジェスチャーで言う。「そんなわけ無い!」と私が言って、ジェスチャー同士の口論となる。が、オバチャンは閃いた様で左を指差す。

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 指差された方向に行って見れば、駅の反対側にも手荷物預かり所があった。作りも一緒。そう言う事か!と思い、そっちのオバチャンに半券を見せるもやっぱり同じく「預かってない!」と追い払われる。仕方なくまたさっきのオバチャンの所に戻って事情を話してジェスチャーでの押し問答。するとまたオバチャンは閃いた様で私の袖を引っ張って歩き出す。まるで首根っこを掴まれた猫の様に私はオバチャンに着いていく。

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 なんと蘭州駅には三つの手荷物預かり所があり、私は左右に尋ね無いと言われたが、私が本当に預けたのは中央の手荷物預かり所だったのだ。どれも似た様な作りで似た様なオバチャンがいたから見分けがつかなかったのだ。したり顔で私の肩を叩くオバチャン。言葉の意味は解らないが、

「しっかり旅しなさいよ!」

 って言ってくれてるに違いない。西安編では中国人女性は強いと書いたが、中国人オバチャンは強さだけでは無く、お節介な程世話好きな人達でもある。まるで時代を逆行したかの様なファッションで身を包み、雷パーマで大声で捲し立てる中国人オバチャン達。何処か幼い頃の下町オバチャンに通ずるものがあって、私は結構彼女達が好きなのである。

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 蘭州から夜行列車に乗って次の目的地嘉峪関を目指した。中国の列車はインドと双璧を成す程カオスの有り様だ。だから今度の旅ではしっかりとした寝台を予約した。

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 正直、以前乗った硬座や無座のカオスぶりに比べると雲泥の差があった。人の海、人の生み出すゴミの海の様な硬座の列車とは裏腹に、こんな豪華で良いのか?と思う程世界水準の寝台車。中国の列車に構えていただけに驚かされた。これも今の中国の格差社会を象徴している事なのか?

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 中でも驚いたのが切符のシステム。旅人が海外の電車で苦戦するのは、乗る時よりも降りる時だ。慣れない外国語表記の駅名板、時間もルーズなのであてにならない。アナウンスも外国語では聞き取り辛いし、初めて来る場所では景色から推測する事も難しい。終着駅なら兎も角、途中下車は緊張を強いられる。

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 しかし中国の寝台列車では、乗車する時に車掌さんが、切符とカードを交換する。そしてその乗客が下車する駅が近づくと車掌さんは乗客の席まで訪れて、再びカードと切符を交換する。つまり車掌さんが降りるべき駅が近づいた事を知らせてくれるのだ。これは大変便利なシステムだった。時にオバチャンの車掌さんがカードを交換に来たのだが、私が目をこすっていると、

「未だもうちょっとあるから眠っておきなさい!私が起こしてあげるから!」

 なんて声かけてくれた。やっぱり中国オバチャンは優しいのである。