シルクロードを西へ!新疆編1蘭州

 シルクロード、嘗て東西を結んだ交易の道、商人は勿論の事、三蔵の様に経典を求めて旅に出た者もいた。時には覇権の野望を持って、この道を駆け抜けた者もいた。そして今私もその道を旅しようとしている。

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 旅は北京を経由して蘭州 から始まった。蘭州は現在の中国の地図のど真ん中に位置し、西方を旅する者にとって起点となる街だ。

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 嘗てシルクロードを旅した者は、西安を出発すると、河西回廊と呼ばれる南北を山脈に囲まれた細い長い平地を西に向かい旅する事になる。西安を出て約600キロ、 西を目指す者達の目前に立ちはだかるのは大河黄河。その黄河越えのポイントに出来た街こそ蘭州だ。蘭州には黄河に初めて渡された橋がある。黄河の畔に佇めば、万里の河が脳裏に流れる。

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 先に述べた様に蘭州は南北に山地が迫る東西に細長い立地にある。山頂に塔が聳える白塔山公園に登って蘭州を眺めた。現代の蘭州は中国屈指の工業地帯、盆地故工場の排煙が滞留してしまい、大気汚染の酷い中国でも大気汚染の深刻な街でもある。しかし日本も高度成長期時代は酷い有り様だった。人は喉元過ぎればすぐ忘れる。

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 白塔山を降り市街を散策した。蘭州は西安の西方にある為、西安以上にイスラームを信仰する回族が多く暮らす。街中には多くのモスクが建っている。そんな回族の料理、牛肉麺が蘭州の名物だ。蘭州はラーメンの発祥地とも言われ、今では牛肉麺は中国中で大人気でカップヌードル化もされている。

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 中国の西安以西の地域では寒冷な気候の為米が余り収穫を望めない。だから粉食文化が発達した。だから西安では餃子が名物で、此処蘭州では拉麺が名物となるのである。

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 さて、汚い話で恐縮だが、食べた後は出す話だ。中国ではこうした大都会でも初歩的な英語さえ通じない。トイレやステーションも通じない。しかし中国は漢字を使用するので簡単な筆談なら意思が通じる。トイレに行きたい場合は掌に厠と書いたら意思が通じた。

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 しかし中国の厠は慣れるのに勇気が必要だ。一本の溝が掘られており、溝の前後に低い敷居があるだけ、横は全くの開放状態。そこを出したものが、流し素麺状態で後ろに流れていくので、自分の流したものを見られても、人の流したものは見たくないので、朝などは一番上流の奪い合いだ。

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 夕暮れが近づく頃、白塔山とは反対の山に位置する五泉山公園に私は向かった。前漢の時代に匈奴と戦う為戦地に出た霍去病が、この地で剣を指したところ水が沸いた事に由来があると言う。その歴史ある公園で寺院や泉、蘭州の眺めを楽しむ頃には蘭州に日が沈んでいった。近くを通る線路に列車が行く。今夜私もこのレールの上を西にひた走る。シルクロードを西に目指す旅が始まろうとしている。