シルクロードを西へ!ウズベキスタン編ヒヴァ3

 イチャン・カラの西門と東門、北門と南門を結ぶ線が交わる場所にジュマ・モスクがある。ジュマとは金曜日の事、金曜日はイスラームの礼拝の日。拠ってイスラームの大切な一日である金曜を冠したモスクは世界中にあるが、大抵街の中心となるモスクである事が多い。

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 モスクはドーム建築が発達する以前のモスク建築の主流である多柱式モスクの典型だ。

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(多柱式モスクの典型例のスペイン・コルドバのメスキータ)
 213本に及ぶ柱が礼拝に必要な広大な空間に屋根を支えるべく林立している。根本が極端にすぼむのは中央アジア独特の様式、ひとつひとつの柱に刻まれたイスラーム式の紋様が美しい。

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(ジュマ・モスク)
 ジュマ・モスクのミナレットは登る事も可能だ。狭い螺旋階段を登っていく。所々に設けられた採光用の窓はあるが薄暗い螺旋階段を登っていると、途中でヒヴァっ子のカップルが仲良くやっている。何もこんな中途半端な所でと思ったが、この薄暗がりも二人にとっては都合が良いのだろう。

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(西)
 やっとの事で頂上まで登ると、何故彼等が中途半端な所にいたかが判明した。先客のカップルが天辺の狭い空間を利用していたのだ。これは気まずい。観光客なら景色を楽しんだら降りてしまうが、愛の囁きに終わりは無い。

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(東)
 すると南北の窓にそれぞれ座っていた彼等の内の彼女の方が私に

「写真撮りたいの?」

 と尋ね、場所を譲ってくれた。そう思いきや、彼女は反対側に移動して、彼氏と寄り添って座っている。どうやら私を出汁にして二人の距離を縮めてしまったらしい。ウズベクの女性、恐るべし。

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(南)
 中央アジアイスラームの戒律は緩やかなもので、中には酒をたしなむ人さえいる。しかし男女の行いに厳しいイスラーム社会にあって、まさか礼拝を告げる為のミナレットの上で、カップルがデートをしているとは凄く驚いた。だとしても私が何を言おうとヤッカミに過ぎないので、静かに83段あると言う階段を下る。往き通り過ぎた二人は、暗闇の中、懲りる事無く愛を囁き合っていた。