2017-01-01から1年間の記事一覧

シルクロードを西へ!最終回

渡し船で旧市街へ戻った。桟橋のあるエミノニュは、バス、トラム、そして渡し船が行き交うイスタンブールの心臓と言える場所。常時地元の人と旅人がいっしょくたとなって混雑している。 昔は交易品が集積される場所だったに違いない。港のすぐ側には香辛料を…

シルクロードを西へ!トルコ編イスタンブール7

ガラタ橋を渡り金角湾を越えて新市街へ向かった。ガラタ橋は二階建ての橋で、一階部分はレストラン街、二階部分を車とトラムが走る。橋上ではイスタンブールの太公望達が集結し一斉に釣糸を垂らしている。 新市街と言っても歴史は古く、コンスタンティノープ…

シルクロードを西へ!トルコ編イスタンブール6

テオドシウスの城壁からトラムに乗って旧市街の歴史地区近辺まで舞い戻る。そこから急坂を登っていく。イスタンブールは多くの港街がそうである様に、坂道が多く、七つの丘を持つ街とも呼ばれている。その旧市街に一番近い丘の頂上に、オスマン帝国一と呼び…

シルクロードを西へ!トルコ編イスタンブール5

テオドシウスの城壁、現在では城壁を遥かに越えてイスタンブールの街は広がる。トラムや交通の障害となるので、幾つかの部分は取り払われてしまったが、城壁は幾つかの部分で嘗ての偉容を今に残す。 (テオドウシスの城壁) コンスタンティノープルは一辺をボ…

シルクロードを西へ!トルコ編イスタンブール4

イスタンブールの旧市街の歴史地区からトラムが走る目抜通りを西に進み、天葢に覆われた巨大なグランド・バザールに向かった。オスマン帝国が築いた歴史あるバザールで、嘗てはシルクロードから届いた商品も此処で売買されたのであろうが、今となっては観光…

シルクロードを西へ!トルコ編イスタンブール3

アヤ・ソフィアから広場を挟んでアヤ・ソフィアと正対する様に建つモスクはスルタン・アフメッド・ジャーミー、通称ブルー・モスクだ。トルコのモスク建築様式は全てアヤ・ソフィアが決定付けたと言っても過言では無い。 コンスタンティノープルを陥落させ…

シルクロードを西へ!トルコ編イスタンブール2

見所が目白押しなイスタンブールに於いても、最も重要な場所がスルタン・アフメット地区だ。オスマン帝国のスルタン(王)の居城トプカプ宮殿、とアヤ・ソフィア、スルタン・アフメッド・ジャーミー(モスク)と最重要な施設が並列している。 そんな中でもイ…

シルクロードを西へ!トルコ編イスタンブール1

遂にシルクロードを西へ!シリーズの終着駅イスタンブールを紹介する時が来た。多くのシルクロードの記述でもイスタンブールからローマは海路となる記述が多い。東は西安から始まって、これより陸路を辿ってきたシルクロードが終わる場所イスタンブール、世…

シルクロードを西へ!トルコ編カッパドキア

コーカサスの旅で、最後に訪れたアルメニアの首都エレバンで私はアルメニア人の心の拠り所、アララト山を眺める事が出来た。 だがそこはアルメニアでは無くトルコ領、と言う訳で長く続けてきたシルクロードの旅行記も遂にトルコの旅を紹介する時が来た。私が…

シルクロードを西へ!コーカサス編カタール・ドーハ2(コーカサス編最終回)

別段目覚ましもかけてはいないが、旅中は私はここぞと言うタイミングで起きる事が出来る。今回も日暮れになる直前に起床する事が出来た。ドーハにはがっついて見歩く程の見所は無い。私はゆっくりとイスラーム美術博物館へと足を運んだ。 ルーブル美術館のガ…

シルクロードを西へ!コーカサス編カタール・ドーハ1

遂に今回の旅もトランジットを残すのみ、今回の旅は往きはヨイヨイ…と言う事が多かったが、トランジットに関しても例外では無く、アルメニア出国もドーハ出国も午前二時頃と言うきついスケジュールとなった。つまりドーハにはまる一日滞在する寸法。しかし…

シルクロードを西へ!コーカサス編アルメニア・エレバン及びその郊外3

続いて訪れたのはゲハルト修道院、ガルニ神殿から程近い此処は神殿周辺同様深く切れ込んだ崖地となっており、その谷底に修道院が建つ。時代を感じさせる岩を利用した立派な礼拝堂が建っているが、更に以前は岩をくり貫いた空間が礼拝堂だったと言う。 ゲハル…

シルクロードを西へ!コーカサス編アルメニア・エレバン及びその郊外2

コーカサス最後の朝が明けた。ツアーが始まるのは未だだが、私は早起きして昨日訪れたカスケードへと足を向けた。そこからはエレバンの街とコンディションが良ければアララト山を一望出来る。今日最初に訪れるホルヴィラップ修道院、そこはアララト山を背景…

シルクロードを西へ!コーカサス編アルメニア・エレバン及びその郊外1

ナゴルノ・カラバフを後にした。ナゴルノ・カラバフ、ゴリス周辺の山間部は相変わらずの曇天と言うより状況は更に悪化して濃霧で一寸先も見えない様な地域もあった。 しかし山間部から下れば今までの曇天がまるで嘘の様に晴れ渡った。途中往きと同じ場所で休…

シルクロードを西へ!コーカサス編ナゴルノ・カラバフ2

到着したナゴルノ・カラバフの首都ステパナケルトはとても昨年紛争を起こした国とは思えない、ごくありふれたアルメニアの地方都市と言う風情の街だった。人々も大勢大通りを歩き、先に訪れたゴリスより活気があった。但し旅人にとっては、これと言って別段…

シルクロードを西へ!コーカサス編ナゴルノ・カラバフ1

宿の支配人に見送られ私はこの地方を訪れた、もうひとつの目的地へと向かった。其処にはラチン回廊と呼ばれる山道を抜けていく。嘗ては激しい戦場となった場所だ。やがてマルシュルートカはパスポートチェックを行う検問所の前で停まった。此処から先が目指…

シルクロードを西へ!コーカサス編アルメニア・ゴリス

宿の支配人にタクシーを呼んで頂きタテブ修道院へと向かった。タテブ修道院はアルメニアで一番美しいと評判の修道院だ。修道院とは修道僧達が修道生活を送る場所でもあり、勿論彼等が生活を送る場所以外に礼拝堂も併設される。そこが教会と異なる点で、仏教…

シルクロードを西へ!コーカサス編アルメニア・ゴリスへ

一夜開けると素晴らしいサンライズが私を出迎えてくれた。昨晩迄水害に足止めを喰らっていたとは信じられない光景だ。更に窓越しからアルメニアの心の拠り所ともなっているアララト山がくっきりと私を出迎えてくれた。今回の旅の中で一番鮮明に見れた瞬間で…

シルクロードを西へ!コーカサス編アルメニアへ

いざ、いや、漸くコーカサス三国最後の訪問国となるアルメニアを目指すべく寝台に乗り込んだ。出発は夜の10時16分、アルメニアの首都エレバンには朝7時半頃到着予定だ。とっても良い時間帯。だと言うのに丁度眠くなるだろう日付が変わるタイミングにジ…

シルクロードを西へ!コーカサス編ジョージア・シャティリ5

ヘリコプターは飛び立った。シャティリに訪れていた観光客は欧州系のグループのハイカーさんが多かった事もあり、単独で訪れていた私や韓国人、ポーランドの彼は地元民と一緒に第一便での搬送となった。乗客全てに安堵の笑みが溢れる。ヘリコプターはそんな…

シルクロードを西へ!コーカサス編ジョージア・シャティリ4

運命の朝が訪れた。晴れ間が見える。昨日に比べれば上々だ。これならヘリコプターはやって来る。私は小さく握り拳を作ってベッドから飛び起きた。我々はこの二日間、旅費を温存する為軽食しか摂っていなかった。相部屋の韓国人が遂に根を上げ朝食を頼んだ。…

シルクロードを西へ!コーカサス編ジョージア・シャティリ3

7月7日、再び断続的に雨が降る一日となった。カッパを着て現状視察に赴いた。土砂崩れの現場はいつの間にかブルドーザーが整地してくれていた。しかし、しかしである。目の前には全く喜べない状況が広がっていた。否、その光景は喜ぶどころか我々を絶望の…

シルクロードを西へ!コーカサス編ジョージア・閑話休題2

眠れない夜は物思いが止まらない。此処シャティリの北に聳えるコーカサス山脈。山脈を越せばチェチェン共和国だ。日本人でもこの国の名は聞いた事がある人は多いと思う。国の名が冠されているものの、この国もまた非認証国家だ。チェチェン共和国の他にもコ…

シルクロードを西へ!コーカサス編ジョージア・シャティリ2

「昨夜の大雨により崖崩れが発生し道路が遮断された為マルシュルートカは走れないんだ。」 一瞬呆気に取られたものの、こうなってしまったものは仕方無い。そうしている内に旅人は続々と集まり、マルシュルートカ二台分程も集まってしまった。事の重大性を把…

シルクロードを西へ!コーカサス編ジョージア・シャティリ1

要塞に突入したいのをグッと堪えて、先ず要塞の全貌を眺めた。要塞は二つの川が合流する、急峻な崖の斜面に沿って建てられている。 現在ですら十数戸の小さな村だから、要塞の規模はそれほど大きなものでは無い。だが塔状の住宅が寄り添うと言うより、合体し…

シルクロードを西へ!コーカサス編ジョージア・シャティリへ2

チャチャで気分は上々になり、マルシュルートカはワインディングロードをひたすら下っていく。とあるカーブを曲がった瞬間髭生やしたオッサンが急坂を駆け上がってきた。まさか山賊! 「出、出たあ!」 思わず叫びそうになったが、良く考えれば今時棒切れ一…

シルクロードを西へ!コーカサス編ジョージア・シャティリへ1

8月5日遂にシャティリへ向かう日が訪れた。シャティリへは水曜と土曜にトビリシから、木曜と日曜にシャティリからのマルシュルートカがある。と言うか週に二本しかマルシュルートカがない。つまり水曜出発して木曜の帰りの便に乗り遅れたら日曜迄帰って来れ…

シルクロードを西へ!コーカサス編ジョージア・ムツヘタ2

ジュヴァリ聖堂から降り、ムツヘタで一際目立つスヴェティツホヴェリ大聖堂に向かった。この聖堂にはキリストが磔にされた時着ていた上衣の一部が埋められていると信じられている。その埋められている地中から生えた杉を使って聖女ニノが此処に木造の教会を…

シルクロードを西へ!コーカサス編ジョージア・閑話休題1

さて、ムツヘタ・スヴェティツホヴェリ大聖堂を紹介する前に、簡単にジョージア人が信仰する正教会について説明したいと思う。日本ではキリスト教と言えばカソリックとプロテスタントが有名だが正教会はそれほど知名度が無い。東京ならお茶の水のニコライ堂…

シルクロードを西へ!コーカサス編ジョージア・ムツヘタ1

本日はジョージアの古都ムツヘタを訪れる。先日紹介した温泉を発見しトビリシを築いたゴルカサリ。彼がトビリシを建設以前の首都がムツヘタだ。政治的中心が移された後も、キリスト教の総主教座はこの地に留められ、ムツヘタはジョージア人の信仰の中心であ…