シルクロードを西へ!コーカサス編アルメニア・エレバン及びその郊外2

 コーカサス最後の朝が明けた。ツアーが始まるのは未だだが、私は早起きして昨日訪れたカスケードへと足を向けた。そこからはエレバンの街とコンディションが良ければアララト山を一望出来る。今日最初に訪れるホルヴィラップ修道院、そこはアララト山を背景にし、とても絵になる写真を撮れる修道院として人気が高い。今日、それが叶うかどうか心配だったのだ。
 
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 結論から言えばそれは見えた。しかし大気が澱む夏場、それを写真に納めるのは一筋縄ではいかなかった。肉眼でははっきり稜線が見えるのに、写真ではぼやけてしまう。結局現地では悔しい想いで終った。帰国後、スマホに入れて合ったスマホPhotoshopで曇りの除去の数値をちょっと弄ったらあら不思議!くっきりと思い出が再現された。
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 肉眼では見えるけど、写真には収まらない、即ち少しガスってる、一抹の不安と共にツアーは始まった。先ず訪れたホルヴィラップ修道院、先日リプシメ教会を紹介した時名前を挙げた時のアルメニアの王トゥルダット3世を覚えているだろうか?彼は棄教と求婚を断られるとリプシメを殺害した。
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 そんな彼はキリスト教を毛嫌いしキリスト教を伝導するグレゴリウスをこの地の洞窟に12年にも及び幽閉してしまう。しかしそれが祟ったかトゥルダット3世は重い病を患い、既にキリスト教を受け入れていた妹の説得を受け遂にキリスト教を受け入れた。
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 こうしてグレゴリウスは開放され、彼はエチミアジン教会を築き、アルメニアを世界初のキリスト教国とする。そしてトゥルダット3世は自分の行いを恥じリプシメの為に教会を築いた。そしてグレゴリウスを幽閉していた場所即ち、khor(深い) virap(穴)の上に聖堂を建てたのがホルヴィラップ修道院の始まりと言われる。
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 そんな修道院は現在では背後にアララト山を拝める事で、アルメニア人のみならず、アルメニアを訪れる旅人に大人気の修道院となっている。エレバンから離れているので空気も若干澄んでいるのか、此処では撮った写真でも加工する事無く稜線までキチンと写せた。
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 また修道院にはグレゴリウス3世が幽閉されていたと言う岩窟に降りる事も出来る。ただ、細い1本の梯子を登り降りするので、観光客が増え始める午前9時以降はごった返して収拾が就かない恐れがある。また山のコンディションは朝の方が良い。ホルヴィラップに訪れるなら朝一がお薦めだ。
 
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 ホルヴィラップ修道院から一旦エレバンバックパッカー宿に戻り、案内人がリリーフへと交代した。リリーフは私が直接申し込んだ宿の朗らかなスタッフだった。エレバンから北に向かい、先ず訪れたのはガルニ神殿、アルメニアで唯一残るヘレニズム様式の神殿だ。
 
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 この様式の神殿はギリシャアクロポリスを始め、ローマ帝国の勢力範囲に幾つも残されており、それらをくまなく旅してきた旅人にとっては、規模的に小さいこの神殿はガッカリを感じてしまうかもしれない。しかし世界でいち早くキリスト教を受け入れたこの地で、異教にあたるこの神殿が残された事、そしてこの神殿の周囲の素晴らしい景観、それを加味すればガッカリするには及ばない。太古の人々もきっとこの景観に感動したからこそ、この地に神殿を築いたに違いない。
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 神殿の駐車場でホテルのスタッフに薦められチュルチュヘラと呼ばれる現地のおやつを買った。一見不気味なので敬遠していたが、ナッツ等を飴にくるんだ棒状のお菓子でとても美味しかった。何事も食わず嫌いは損をする。危うく損をするところだった。