シルクロードを西へ!コーカサス編ジョージア・シャティリへ1

 8月5日遂にシャティリへ向かう日が訪れた。シャティリへは水曜と土曜にトビリシから、木曜と日曜にシャティリからのマルシュルートカがある。と言うか週に二本しかマルシュルートカがない。つまり水曜出発して木曜の帰りの便に乗り遅れたら日曜迄帰って来れない。ジョージアの旅の最後に不確定要素の強い日程を組み込むのは本来望ましい事では無い。しかしこれは急遽思いついた事。悩んだ時はGO!の私。やって後悔するよりも、やらずに後悔した方がずっと後味が悪いから。

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 昨日も利用したディドベ・バスステーションに出発1時間前に赴いた。ちょっと待つとシャティリと看板を乗せたマルシュルートカがやって来た。どうやら一番乗り、これで席は確保した。座席に荷物を残し駅前のバザールであれこれ軽食を調達した。
 
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 マルシュルートカには意外な事に観光客の乗車率はそれほどでは無かった。シャティリ村の住民が、洗濯機だろうか?大型の電化製品を車内に持ち込んでいる。週に二本の定期便だからか、マルシュルートカは満員を待たずに定時に出発するも、あっけなく道端に停車した。何かと思えば、シャティリに帰郷するオバチャン達がシャティリでは採れないだろうスイカのお土産を買いに道端のスイカ売りの露店に立ち寄ったのだ。

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 運転手さんが親切にもスイカの品定めに参入している。陸の孤島シャティリ村に暮らす人々にとって週に二本のマルシュルートカは唯一の外界と繋ぐパイプライン。ローカルムードたっぷりの路線なのだ。

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 マルシュルートカは例に漏れず昨日訪れたムツヘタを通り過ぎ、カズベキに向かう時訪れたジンヴァリ湖に辿り着く。カズベキに向かう時は湖の左岸を走ったが、今度は右岸を走る事になる。やがてマルシュルートカは小さな村のよろず屋の前で休憩を入れた。此処が我々が想像するお店を体験出来る最後のポイントとなる。

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 此処を過ぎるといよいよ問題の峠越えだ。マルシュルートカは森林限界を超えた草原の九十九折りをヨチヨチと峠を目指して登って行く。道と言っても登山道に毛が生えた様な道。路肩は激甘な上、一台の車幅ギリギリな場所さえあるデスロード。見渡す景色は雄大だが、路肩を見下ろす度に寒気を感じる。こんな道、大雨降ったら一発だよな…、見上げる空を覆う雲に一抹の不安を感じた。

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 やっと辿り着いた峠でマルシュルートカは最後の一服を入れた。地元のオバチャマ方から声がかかる。ヤバいと思えど断る訳にはいかない。恐る恐る近づけば、やっぱりチャチャ。チャチャとはジョージアの地酒で日本で言う焼酎の様なものだが、ワインの発祥地であり大酒飲みの国であるジョージアの地酒は、焼酎なんて子供の飲み物と思わせる程半端無い強さだ。
 
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 ジョージアには伝統的なワイングラスがある。動物の角を利用したものだ。角だからテーブルに置けない。注がれたら最後、飲み干すしかない。そんなお国柄チャチャも一気飲みだ。モタモタしてるとソレソレと催促がかかる。ジョージアのマルシュルートカの旅の小休止は宴会だ。いや、時に街中でジョージアのゴツい親父共に呼び止められたら最後、チャチャを振る舞われる事となる。
 
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 オバチャマはチャチャだけでは無くツマミもくれる。ナンの様なパンになんとチリソースをかけて食べる。だがチャチャにこれが良く合う。もう気分は上々だ。
 
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 目の前には、高度が高いから雲がまるで霧の様にデスロードを覆っている。こんな悪路をこの視界の中マルシュルートカは進んでいく。只でさえ酔ってしまいそうな悪路を、強烈なチャチャの酔いで帳消しにする。正に毒を盛って毒を制すとは、この事だ。