シルクロードを西へ!最終回

 渡し船で旧市街へ戻った。桟橋のあるエミノニュは、バス、トラム、そして渡し船が行き交うイスタンブールの心臓と言える場所。常時地元の人と旅人がいっしょくたとなって混雑している。
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昔は交易品が集積される場所だったに違いない。港のすぐ側には香辛料を中心に商うエジプシャン・バザールが、その裏手は問屋街や商店街となっており、グランド・バザールまで続く。
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 これだけ人手が出る場所だから、招かれない輩も出没する。彼等は一人旅の旅人を装って「写真を撮って頂けませんか?」と声かける。一枚くらいお安い御用と写してあげれば言葉巧みに親しく話しかけ、そんな彼等の誘いに乗って誘われるがまま店に入れば、何十万と言う請求が来るらしい。
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 トルコではそんな人が集まる要所には必ずモスクが鎮座している。エミノニュ桟橋に鎮座するのはイエニ・モスク。見上げれば丘の上にはスレイマニエ・モスク。ひっきりなしに渡し船が発着する桟橋の脇にはド派手な外観の船が横付けされ、船には大行列が出来ている。エミノニュ名物の鯖サンドの船だ。
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 鯖サンド。余りにもゴロが良い日本のネーミングに、トルコ語の名称を忘れてしまったが、これが美味い!塩焼きした鯖をパンで挟んだだけなのだが、本当に美味い。これを食べた時イスタンブールに来たんだなとつくづく感じる。
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 そして私はエミノニュの風景がイスタンブールで一番好きだ。この風景を見る度にイスタンブールに来たんだなとつくづくと思う。鯖サンドを頬張りながら、大好きな風景を堪能する。カモメがおこぼれを狙って飛び交っている。
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 私はイスタンブールで何人かの人々に疑問を投げ掛けた。

イスタンブールは、トルコは、アジアなのですか?それともヨーロッパなのですか?」

 その殆どの回答がアジアと言う返答に私は安堵を感じたが、アジアでありながら、NATO加盟を始めヨーロッパに視線を向けるトルコ政府を批判されたと感じたのか私にこんな質問を返した人もいた。

「では日本はアジアなのですか?それともアメリカなのですか?」

 一本とられた気がした。見渡せば金角湾を焼き尽くすかの様な夕陽が落ちていく。イスタンブール、此処にて永く続いたアジアの大交易路、陸路のシルクロードが完結する。
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これにてシルクロードの旅を完結します。お付き合い頂きありがとうございました。もうすぐ新年ですが、良いお年を!そして来年も宜しくお願いします。