シルクロードを西へ!コーカサス編カタール・ドーハ1

 遂に今回の旅もトランジットを残すのみ、今回の旅は往きはヨイヨイ…と言う事が多かったが、トランジットに関しても例外では無く、アルメニア出国もドーハ出国も午前二時頃と言うきついスケジュールとなった。つまりドーハにはまる一日滞在する寸法。しかしカタールのドーハは旅人の間で「世界一退屈な街。」と言う喜ばしくないレッテルを貼られている街でもある。しかし私は思うのだ。それは旅人自身の感性が足らんからそう感じるのでは無いか?滞在を楽しいものにするか、つまらないものにするかは、街に依存するものでは無く、自分自身の感性に委ねられていると私は思う。つまりドーハを楽しめるかどうかは私次第!さて多くの方が退屈だと言うドーハの街をどう楽しませて頂きましょうか?
 
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 と意気揚々外に飛び出してビックリ!温度設定を間違えてしまったのでは無いかと言う程暑い!まるでトビリシの温泉のサウナに入ってしまったかの様。でも此処は屋外。そう言えば中東には秋冬しか訪れた事が無い。今は初夏。温度も去ることながらドーハは海沿いにあるから湿度も加わる。砂漠の暑さとはまた違う。たまらず停まっていたバスに飛び込んだ。
 
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 ドーハのバスで気を付けなくてはいけない事はシティ・センターと言えば、街の中心では無く同名のショッピングセンターに連れられてしまう事。ドーハっ子が屯する街の中心は旧市街にあるが、ショッピングセンターのシティセンターは高層ビルが建ち並ぶ新市街に位置する。私は新市街も訪れてみたかったので敢えて連れられるがままシティセンターまでバスに乗ってみた。
 
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 バスを降りれば容赦無い熱気が私を襲った。迂闊だった。水分を買い忘れていた。シティセンターは未だ営業時間外、他に商店と言うものは此処には存在しなかった。余りに暑過ぎるので地元の人々は外出しない。外出するにしても石油で潤う大金持ちの人々が暮らす新市街では皆車に乗って移動する。だから道路に面した商店等要らないのだろう。車はビュンビュン走っているのに歩道に人影は全く存在しない。
 
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 それは不思議な光景だった。まるで近未来を描いたSF映画の様な格好をした高層ビルの谷間。そこを絶えず行き交う高級車。しかし歩道には人は愚か生き物が全く存在しない。それは近未来核戦争が勃発し、大気が汚染され、大気中で人が暮らせなくなった世界を歩いている気分だった。(確かにまともに歩けない程暑い。)走る車が、コイツ大丈夫か?との様な表情で私の顔を伺い通り過ぎていく。
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 街に人影ひとつ無い近未来の世界、まるで自分が今世界の何処にいるのか解らなくなる様なSFチックな高層ビルの谷間で、アラブの民族衣装を纏ったビルに描かれた画像だけが、此処がアラブである事を私に示してくれた。
 
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 やっとの想いで海岸線まで辿り着いた。後は遠くに見えるアラビアンナイト時代のモスクのミナレットを模したイスラーム・センターを目指して歩むだけだ。
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 余りに暑いので人影も無く、海岸線に置かれたベンチもただのオブジェと化している。
 
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 暑さと苦闘の末、漸く旧市街の中心に辿り着いた。真珠の大きなオブジェが出迎えてくれる。ドーハはドバイと共に嘗ては真珠産業で生計を立てていた歴史がある。しかし日本で真珠の養殖が成功し安い真珠が出回ると真珠の価格が暴落し、それと共にドーハやドバイの真珠産業は壊滅に追い込まれた。
 
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 それから油田が発見される迄、ドーハやドバイは低迷を続ける事となるが、彼等の真珠への想いは大きいのだろう。ドーハのみならず、ドバイでもこうしたオブジェを見る事が出来た。ドーハの内海は巨大な都市としては綺麗な海だが、真珠を養殖していた歴史があるからだ。
 
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 旧市街に辿り着くと同時に、私はエアコンの効いた地下で一服し、嘗てのドーハのスーク(商店街)を模したスーク・ワキーフに向かった。お目当ては勿論水分だ。ミネラル・ウォーターで喉を潤し、未だ足りなかったのでファンタを頼んだら、なんとイチゴ味だった。
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 甘党で有名なアラブだが、こんなところにも好みが出ている。何故かこの暑さには、まるでかき氷のシロップの様なイチゴ味がマッチする。
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 水分を捕った事による安心と更に旧市街では暑いとは言えそれなりに人出があり、それが私を安心させた。やはり街は人の活気が満ちていてこそだと思う。
 
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 その後イスラーム文化センターでイスラームの文化や歴史を学んでホテルで昼寝を取った。最早旅も終わりに近づき、この暑さの中で、水分と共に休息も必要だ。