シルクロードを西へ!トルコ編イスタンブール5

 テオドシウスの城壁、現在では城壁を遥かに越えてイスタンブールの街は広がる。トラムや交通の障害となるので、幾つかの部分は取り払われてしまったが、城壁は幾つかの部分で嘗ての偉容を今に残す。
イメージ 7
(テオドウシスの城壁)
 コンスタンティノープルは一辺をボスフォラス海峡、もう一辺を金角湾と二辺を海、もう一辺は三重に設けられたテオドシウスの城壁に囲まれた三角形の都市で鉄壁の防御を誇る大都市だった。そしてこの鉄壁のテオドシウスの城壁が崩れた時歴史は大きく動く事になる。
イメージ 1
(金角湾)
 オスマントルコの将軍メフメッド2世はテオドシウスの城壁を破ろうとするが、中々突破する事が出来なかった。もう一辺のボスフォラス海峡は潮流が早過ぎて攻略出来ない。潮流の穏やかな金角湾はビザンティン帝国により鎖が渡され、オスマン海軍の金角湾侵入は阻まれた。
イメージ 2
(金角湾の夕陽)
 そこでメフメッド2世は突拍子も無い戦術を使う。金角湾の反対側、今で言う新市街の陸上に丸太を敷き並べ、それに油を塗り、70隻に及ぶオスマン海軍の船を陸上で移動させ、金角湾に運んでしまったのだ。在るべき筈の無い場所から突如現れたオスマン海軍にビザンティン帝国は狼狽する。
イメージ 3
(イスタンブールを走るトラム)
 こうして金角湾の制海圏を奪われたビザンティン帝国は頼みの綱の同盟国ジェノバからの補給路を断たれオスマン軍に包囲される。メフメッド2世は講和を申し入れるがビザンティン帝国はそれを突っぱねた事からオスマン軍の総攻撃が始まった。
イメージ 4
(グラン・バザール周辺に広がる商店街)
 追い詰められたビザンティン軍も善戦はしたものの多勢に無勢、遂にテオドシウスの城壁が破られた時雌雄は決した。こうして約先年の時を生き長らえたビザンティン帝国の歴史は潰えた。しかしそれはビザンティン帝国の歴史の終焉に止まらなかった。
イメージ 5
(トルコ名物伸びるアイス、ドンドルマの屋台。お客様を慌てさせるパフォーマンスが面白い。)
 これまでコンスタンティノープルを拠点にしてオリエントとの交易で莫大な利益を上げていたイタリアの都市国家ジェノバヴェネツィア。それらの莫大な資産はイタリアにルネッサンスを開花させる原動力ともなったが、コンスタンティノープルが陥落した事により拠点を失ったジェノバヴェネツィアビザンティン帝国の後を追う様に没落していく。
イメージ 6
(此方もトルコ名物ケバブサンド)
 その後欧州の繁栄は大航海時代を迎えたスペイン、ポルトガルがリードしていく事となる。コンスタンティノープル陥落とビザンティン帝国の滅亡は、一つの国の滅亡に留まらず、欧州の勢力範囲図を塗り替えたと言って良い。