シルクロードを西へ!コーカサス編ジョージア・シャティリ1

 要塞に突入したいのをグッと堪えて、先ず要塞の全貌を眺めた。要塞は二つの川が合流する、急峻な崖の斜面に沿って建てられている。

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 現在ですら十数戸の小さな村だから、要塞の規模はそれほど大きなものでは無い。だが塔状の住宅が寄り添うと言うより、合体した景観は異様であり、そして美しい。
 
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 要塞はウシュグリの様に個人の復讐に備えたものでは無く、コーカサス山脈を隔てた北方のチェチェンの襲撃に備える為要塞化された。では要塞に突入してみよう。
 
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 要塞はゲストハウスとして利用されている塔と幾つかの施錠されている塔を除いて自由に立ち入る事が出来る。

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 廃墟マニアや探検好きにはまたと無い物件かもしれない。と言うのも、急な斜面に塔がそれぞれ建っているので、とある塔を探索し二階に上がって探索を続けているつもりが、いつの間にか他の塔の1階にいたりする。

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此処を登れば此方に出て、彼方を降ればなんと此方に出る。

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 サプライズの連続で、ついつい階段を見つければ昇降せずにはいられない。
 
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 シャティリの見所は要塞ひとつ、其処に丸一日の滞在はもて余すかなと行く前は考えていたが、くまなく要塞を探索していると一日はあっという間に過ぎ去った。
 
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 移動と探索で疲れ果て、早目にベッドに潜り込んで深夜ふと目を覚ました。雷がゴロゴロと音を立てている。雨音も強い。要塞のゲストハウスは窓はあってもガラス等無い。壁は厚いが、強風に煽られ雨がジワジワと窓から内側に伝ってくる。
 
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(これは私が宿泊した要塞を改造したホテルの寝室)
 私はゾワゾワとした不安に覆われた。非常に嫌な予感がする。そんな不安を掻き消したく私は疲れに任せて深い眠りに堕ちていった。
 
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 翌日目を覚ませば、雲はどんよりと空を覆ってはいたが雨は上がっていた。現金なもので、雨が上がってしまえば、雨による水害の恐怖等すっかり忘れて私は再び川の対岸から要塞の勇姿を眺めたり、要塞内部の探索を楽しんだ。

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 要塞の塔には一部がらんどうとなった塔もあり、平たい石を積み重ね、木材を使って床を形成している建物の構造を知る事が出来、興味深かった。

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 もっともっと探索していたい程だったが、週に二度しか無いマルシュルートカに乗り遅れる訳にはいかない。

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それに宿の宿泊状況からも定員以上に乗客が集まるのは必至だ。

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 私はマルシュルートカが出発する1時間前にはしっかり荷仕度を整えて、マルシュルートカが出発する要塞を上がった上の広場へと向かった。
 
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 其処には昨日乗って来たマルシュルートカが停まっていた。どうやら一番乗りだ。ホッとしてドアを開けようとすると、運転手さんが渋い表情でやって来た。その表情が何を意味しているかは、昨夜の嫌な予感が知らせてはいたが…。