2018-01-01から1年間の記事一覧

インド旅行記後編5

名君3代目アクバルによって築かれたムガル帝国の最盛期。王朝に安定が訪れると文化が花開くものだが、4代目ジャハーン・ギールは政治、軍事には大きな仕事を残さなかったものの、詩や絵画の部分で活躍を残した。続く5代目シャー・ジャハーンはムガル帝国…

インド旅行記後編4

デリー郊外に残るムガル帝国以前のイスラーム王朝が建造したミナレット、クトゥブ・ミナールを見学後、私は次の目的地ジャイプールを目指した。インドの首都デリーとタージ・マハールのあるアグラー、そしてジャイプールを線で結ぶと綺麗な三角形になり、日…

インド旅行記後編3

プラーナ・キラーとフマユーン廟。それらを抜かせばニューデリーにはそれほど目を奪われるものは無い。第一次世界大戦の犠牲者を弔ったインド門も、デザインはまんまパリの凱旋門。秩序だった街路はインドらしさに欠ける。私は足早にオールド・デリーを目指…

インド旅行記後編2

二度目のインドはしっかりと自分のテーマに沿ったものを限られた日程の中で確実に見ておきたかった娘ともあり、移動は前もって予約を住ませ、一部は車をチャーターして臨む事となった。 (デリーのヒンズー寺院ラクシュミーナーラー寺院) デリーは前回殆ど観…

インド旅行記後編その1

初めてインドを訪れてから十年以上の月日が流れた。十年経てば自分も変われば旅も変わる。バックパックを背負うスタイルこそ変わらないが、向こう見ずな体験ありきの過去の旅に比べ、テーマを絞り歴史を追う旅を目指す様になった。これまでは眺めた風景は心…

インド旅行記前編最終回

遂にインドを出発する朝となった。朝食を食べに宿を出た。丁度辻に出た瞬間だった。私の右頬に強烈な痛みが走った。何かが当たったのだ。右頬から伝わる液体の感触…私も遂に撃たれたか?でもそれなら今生きてはいまい。恐る恐る右頬に手をあてる。手にはビ…

インド旅行記前編10

私を乗せたプロペラ機は後ろ髪を引くかの様にカトマンズ盆地を旋回しながら上昇し、この旅の最終目的地コルカタへと向けて飛び立った。 人、人、人、行き倒れ、行き倒れ、行き倒れ…。コルカタの安宿街サダル・ストリート界隈は酷い有り様で、インドに舞い戻…

インド旅行記前編9

私の体調が回復したのはジェネラル・ホスピタルの名医によるものである事は揺らぎ無い。しかしそれをサポートしてくれたのはカトマンズの環境も大きく影響したと私は感じている。 カトマンズはバックパッカーにとって沈没の街として有名な街だ。バックパッカ…

インド旅行記前編8

その後も私の体調は思わしくなかった。いや、徐々に悪化していった。やっとの事で辿り着いたインドとネパールの国境。国境を超えるとガラリと変わった事がある。今は解らないが、当時のネパールはインドに比べ圧倒的に西洋文化が流入していた。土産物屋に並…

インド旅行記前編7

そんなこんなで私が訪れたのはカジュラホー村。男女が交合するエロティックなレリーフが刻まれた寺院が点在する事で有名な村だ。此処も二度目のインドの旅と被るから詳細はそちらに譲る。但し此処は一度目と二度目では大きく環境が変わった。二度目は世界遺…

インド旅行記前編6

アグラーとタージ・マハールについては二度目のインドの旅で詳しく書こうと思うから、此処では簡単に済ませようと思うが、此処で出逢ったイスラーム王朝の王妃の墓標タージ・マハールの世界観は、ヒンズー教の聖地ヴァラナシのカオスに満ちた混沌の世界とは…

インド旅行記前編5

行き過ごしてしまったとは言え、インド屈指の見所であろうタージ・マハールを見ずにインドを去るのは余りにも惜しい。タージ・マハールを見るべく行き来た道を後戻りして私はアグラーへと引き返す事にした。往きは適当に列車に乗り込み大変な思いをした。だ…

インド旅行記前編4

翌朝私はバラナシの街の散策を始めた。人、人、人、牛、牛、牛、行き倒れ、行き倒れ、行き倒れ。強烈な動物臭、それを打ち消すべく人々の強烈な香水の香り、原色のサリー。旅人を見つけるや否や「バクシーシ!」と行き倒れの腕が足首を掴まんがばかりに伸び…

インド旅行記前編3

さて長いこと中断していた初めてのインドへの旅を再開しよう。私はインドに到着するなり、インドの洗礼とも言えるインチキタクシー、ボッタクリ宿、そしてインチキツーリストの三つ巴の攻撃を受け、それらをベロンベロンに酔っぱらう事で振りきった。公園で…

終活

私は50才になるにあたってひとつ生きる上での目標を定めました。逝くまでに100か国を巡ると言う事。私はこれまで訪れた国の数で競うような旅を否定してきましたし、それはこれからも変わりません。だからただ数の帳尻合わせの旅では意味がありません。…

ご無沙汰しました。

大変ご無沙汰してしまいました。 公私とも様々な事で心身共に病んでおりました。 そんな中、先日迎えた生誕50周年の記念日。(去る4月5日) 半世紀生き抜いた記念日にこんな気持ちのままじゃ…と思い、自分を心機一転させようと赴いた旅行代理店。そこへ向…

インド旅行記前編2

当時の難解なインドの鉄道チケットをどうやって私が入手したか今となっては解らない。しかしそれ以上にヒンズー語表記しか無いプラットホームで、私はどの列車に乗ったら良いのか途方に暮れていた。 私はこの旅行でデリーを経ったら、アグラーでタージ・マ…

インド旅行記前編1

08年にイスラームをテーマとした旅の一貫で訪れたインドを紹介したいと思った。が、その前にそれより十数年前に訪れた初めてのインドの旅を先に紹介したいと思う。 それまでカナダ、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパと先進国の御綺麗な国しか巡ってな…

今年の抱負に変えて

昔は年末になると日本人が好む忠臣蔵が良く放映されていたが、今はどうなのだろう?私はこの物語が余り好きでは無い。今に置き換えて考えればこうだ。嫌な上司の嫌がらせに切れて暴力で訴えた浅野内匠頭。 「おいおい、藩のお頭である貴方がそんな事したら後…

明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。 旅した順番は前後したが、これまで私が旅した記録を繋ぎ合わせ、シルクロードの旅を綴ってきた。そうする事が私のイマジネーションを膨らませ、コーカサスを旅する事を決意させ、そしてイスタンブールで締め括った。 東で…