インド旅行記前編7

 そんなこんなで私が訪れたのはカジュラホー村。男女が交合するエロティックなレリーフが刻まれた寺院が点在する事で有名な村だ。此処も二度目のインドの旅と被るから詳細はそちらに譲る。但し此処は一度目と二度目では大きく環境が変わった。二度目は世界遺産に認定された後と言う事だ。

 一度目は世界遺産登録前と言う事もあり、遺跡を外れれば非常に素朴な村だった。これまで、ヴァラナシにアグラーとインドの二大観光地を訪れ、それ故のカオスだのボッタクリだのに揉まれに揉まれ続けた私にとって、カジュラホーの村は癒しそのものだった。全く違ったインドの一面を見れた気がした。遺跡へ向かう野原でちょっとシャイな少年達に誘われ一緒にサッカーを楽しんだり、今までのインドがまるで嘘の様な世界観に浸る事が出来た。

 さて、カジュラホーの次はどうしようか?私は現地で収集した情報の中で、ネパールのカトマンズはとても良いと言う情報に興味を持った。調べればカトマンズからインドのコルカタまで空路を使えばなんとか旅程に収まりそうだ。私はカトマンズを目指す事にした。

 カジュラホーからカトマンズへはバスを乗り継いでの旅となる。しかしその頃から私はインドを旅する旅人の洗礼をまともに受ける事となった。インド旅行の先例と言えばそれはお腹を壊す事。汚い話が苦手な人は此処から先はスルーして欲しい。

 私の病状はバスが先に進めば進むほど酷いものへと変わっていった。バスはとある山中で停留所に辿り着いた。私はもう限界に来ている。いくらインドとは言え車内で暴発させたくは無い。私はバスを咄嗟に降りた。かと言っていつバスが出発するとも限らない。しかも深夜の山中、人目につかない場所に移動して置いていかれでもしたら命に関わる。

 もうこうなったら羞恥心を捨てる他無かった。バスの扉を降りたその場所で私はヤンキーが座る様な格好で、ヤンキーがする様にタバコをくわえ、ズボンとパンツを一気にずらした。目線はヤンキーがする様に車内のインド人にメンチを切って「置いていくんじゃねぇゼ!」と睨みを効かせる。

 不幸中の幸いお腹は完璧に壊れているので事は一瞬で終わる。後は何食わぬ顔して車内に戻る。まさかインド人とメンチを切りながら糞をするなんて思っても見なかった。これぞ字の如くヤケ糞なのである。