遥かなるトンブクトゥ3セグーへ

? ガイドを努めてくれるティメとドライバーのアリと合流し、大きな不安を詰めたままトンブクトゥを目指す私の旅は始まった。街を出ると路肩もあやふやなアスファルトの道をランドクルーザーは疾走する。あやふやな路肩の両側にはアフリカ独特の赤い土が覆っている。更にその両側はサバンナの大地だ。所々で小さな村を過ぎていくが、村の道路には村民総出で列を作っている。

イメージ 1



「アフリカのみんなも私のトンブクトゥへの旅を応援してくれてる!」

 なんて訳も無く、なんと大統領の訪問を歓迎して出迎えているのだそうだ。日本なんて首相が我が町に来ても見る価値無い男だからなぁ。それにしても大統領訪問なのに警備も無く長閑だなぁ。でも村民総出で出迎えなんて!等とその時感じていたが、それから数か月後、大統領がクーデターにより失脚してしまうなんて、この時誰が想像できただろう?

イメージ 2



 更に北に進みセコロ村に立ち寄った。此処は今でこそ村だが嘗てバンバラ王国の王宮があった場所とされ、王宮跡や、ちょっと歪な泥のモスクが残っている。バンバラ族は多民族が仲良く暮らすマリ中部の民族の中で最大の民族であり、言語は民族毎に異なるが、多くの民族の集まる場所での共通語はバンバラ語が使われる。

イメージ 3



 村内を歩いていると家からヨチヨチ歩いて出てきた赤子に手を握られた。ビックリしているともう片方にも。かなり後になってこの意味を知る事になるが、当時子供なら未だしも赤子が何故こんなに人懐こいのだろうと驚いた。一方私を見つけ火がついた様に泣き出してしまう赤子もいる。ガイドのティメ曰く、彼女は外人を見るのが初めてなのだろうと。その赤子は初めて黒く無い人を見て化け物と思ったに違いない。

イメージ 4



 私も幼少の頃、初めて黒人に話しかけられた時、固まってしまい何も言葉を返す事が出来なかった。幼いながらその時私は非常に自責の念にかられた。その黒人は良い人だったのに、結果私は何も言えずその黒人を傷つけてしまったかもしれないと。いつかどんな国の、どんな人とも気軽に話せる自分になりたい。そんな想いが今、60カ国を回り少しは叶えられている