遥かなるトンブクトゥ4セグー

 再び北上を続け、バマコより北に約250キロ、最初の目的地セグーに到着した。バマコを発って初めての街らしい街だ。セグーはフランス統治時代に総督府が置かれた事で整備され発展した。そんな経緯からこの街には特段見所は無い。そんな訳もあって旅人には通過点と一晩の宿くらいの扱いだからか街は非常に静かで穏やかだ。

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 そんなセグーの街をガイドのティメとのんびりと散策した。セグーの特産は壺で至るところに壺を売る店が並ぶ。嵩張るのでとても買って帰る事は出来ないが、初めて見るアフリカの壺を目を丸くしながら見て回り、工芸品の工房や地酒の工場で試飲を楽しんだ。

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 散策途中空き地を横切ると、世界の何処でも空き地は子供達の遊び場と決まっているが、此処でもマリの子供達が大ハシャギ。私達を見つけると

「トバブだぁー!」

 と大騒ぎしながら群がってくる。トバブとは彼等の言葉で白人を意味するが、黒人で無ければ全員トバブなのだ。外国人と訳した方がしっくり来る。そして子供達にとってトバブとはカメラを持った観光客であり、彼等の遊び相手でもある。

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 写真を写せば私のカメラを引ったくらんばかりに奪い取り写真の出来を大騒ぎしながら楽しんでいる。そんな彼等を目を細くして眺めながら彼等の境遇を想う。彼等は決して恵まれた環境に育っている訳ではない。いや寧ろ過酷な現実と共に日々を送っていると言った方が良い。医療の遅れ、劣悪な衛生環境により統計によると5才になるまでに1人の割合で命が失われる。彼等はそんな生き残りなのだ。しかし彼等の眼差しには一片足りとも悲壮な色は無い。皆輝かんばかりの眼差しで今を生きている。そんな彼等の眼差しに見つめられると、私が彼等に励まされてる様な気持ちになる。

「何悄気た顔してるんだい?
トンブクトゥへ行けるか不安なんでしょ?
明日の事なんか誰にだって解らないよ!
今日一日を楽しめない人が
明日を楽しめる筈が無いよ!
今は今を精一杯楽しむ事!
それが旅人足る資格だよ!」と・・・

 そんな力強い彼等の眼差しに見送られてニジェール川の畔に出る頃、セグーに夕焼けが訪れた。漁師がマヅメを狙って漁に赴く。

「行けるところまで、可能性の果てまで、精一杯旅を続けよう!」

 この先で起こっている事件がまるで嘘の様に、ニジェール川の向こうに太陽が静かに、静かに沈んでいった。

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