遥かなるトンブクトゥ8ジェンネの月曜市

 本来、本日トンブクトゥへ向けて出発するはずだったのだが、飛行機のスケジュールに合わせる為急遽ジェンネとドゴンの集落を先に観光する事になった。そんな不運が当初はトンブクトゥを優先する為諦めていたジェンネの月曜市と訪問が重なると言うラッキーを生んだ。曜日市は先に紹介した様にマリの村落部に於ける人々の買い物の唯一の手段として欠かせないものだが、取り分けジェンネの曜日市は盛大で世界的にも有名である。

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 モプティからジェンネは往き来た道を少し戻り脇道に入る。そこからバニ川を渡ってすぐの場所だ。川は小さなフェリーが行き来して人と車を渡しているが、桟橋の様なものは無く、川岸に着いたフェリーに車も人も川に浸かって乗船する。

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 ジェンネに到着し村に入る。ジェンネの村は全て泥で造られている。イスラーム式に造られた村は、イスラームの街共通の迷路の様な造りとなっている、正に泥の迷宮だ。その中心部に辿り着いて目が眩む様な気がした。それまで土色一色だった世界が突然原色の世界に覆われている。ジェンネの月曜市に到着したのだ。

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 多分原色の着物の着こなしはマリの女性が世界一だろう。そう思える程マリの女性の着こなしは素敵だ。赤、青、黄色、様々な原色の衣装を身に纏い、原色の布をキッと頭に巻いている。ジェンネのモスク前の大きな広場に溢れんばかりに原色の女性達が集まり、それぞれの民族の生業の商品を並べている。

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 そこで売られているものは観光客に媚びるものは一切無い地元の人の為のマーケット。我々が覗いても「なんだこれ?」的なものばかり、目を丸くしながら彼女等の勢いに飲まれながらマーケットを練り歩いた。

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 ジェンネは嘗てマリ王国が栄えた時代、トンブクトゥと双子の姉妹都市と呼ばれた街だった。先に述べた塩金交易と共に駱駝で砂漠を渡りマリに運ばれた物資は、ニジェール川、バニ川を船で経由して此処ジェンネまで運ばれた。そして此処からマリ全土へ物資が行き渡っていった。勿論その反対に此処に運ばれたアフリカの物資は船でトンブクトゥへ運ばれサハラを渡っていった。

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 当時トンブクトゥとジェンネ、この二つの街が両軸となってマリ帝国の繁栄を支えていたのだ。さしづめトンブクトゥサハラ砂漠、即ちマリ帝国外界への港街と例えるなら、ジェンネはマリ帝国の経済の中心と言えるだろう。そして目の前で繰り広げられている盛大な月曜市はきっとその当時から繰り広げられてきた光景なのだろう。私は今、その悠久の歴史の中を旅している。?