シルクロードを西へ!コーカサス編ジョージア・トビリシ2

  ユダヤ人街から少し歩くと漸く旧市街の中心ゴルカサリ広場に到着した。私はまたまた驚いた。

「なんてトゥーリスティックなんだ!」

 先程までの少々窶れた街並みとは打って変わり小綺麗なレストランや土産物屋や両替屋が立ち並び、目前には川を挟んでトビリシでも最も重要な教会であるメヘヒ教会、その左奥手には新しく建造された巨大なツミンダ・サメバ大聖堂がデンと構えている。背後にはトビリシを守ってきたナリカラ要塞跡が聳え、そこから川の対岸まで、私の頭上をロープーウェイが通り過ぎていく。

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(ゴルカサリ広場、背後に臨むはナリカラ要塞)
 360度、何処を見渡してもカメラを構えたくなる。ゴルカサリ広場はそんな広場だ。今回訪れた三つの国の首都の中で一番トゥーリスティックで観光客も一番多かったのはジョージアだが、それも頷ける光景だ。

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 ざっと見渡しただけでトビリシの重要な見所が目に入ってくるので何処から巡ろうか返って悩む。沢山あるレストランの内の一軒に入ってヒンカリを頬張りながら私は作戦を立てる事にした。ヒンカリとはジョージア風の水餃子だ。中国のものより大きく皮も分厚い。その代わり肉汁が沢山入っている。食べる時は皮が集まった部分を手で掴み、一片をかじって、肉汁を啜ってから食べ始める。

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 モンゴル帝国シルクロードをひた走ってユーラシア大陸を制覇した。それと共に彼等が持ち込んだ料理も広がっていった。私が今食べているヒンカリも、遥か昔、シルクロードを旅してここまでやって来た料理のひとつだ。もしかして共食いか?

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(メテヒ教会)
  そして此処トビリシもまた、その昔シルクロード交易で賑わった街のひとつなのだ。トビリシに流れるムクトヴァリ川、この川に沿ってシルクロードが通っており、それに沿って旅の商人達も移動した。異民族にも寛容で、温泉も沸くトビリシは隊商達にもさぞ人気の宿泊地だったのではないだろうか?

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(メテヒ教会内部)
 さて結局私は先程述べた目の前に建つ二つの教会から巡る事にした。ジョージアキリスト教カソリックとは袂を分けた正教会系に属するキリスト教で、由緒あるメテヒ教会も現代建築のツミンダ・サメバ大聖堂も、中に入るとカソリックの豪華絢爛な教会装飾に慣れた目線で見ると拍子抜けするほどシンプルな構成だ。

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(ツミンダ・サメバ大聖堂)
 また主に西欧で勢力を伸ばしたカソリックと違いルネッサンスの影響を受けていない事と基本的に偶像崇拝を否定する立場から、キリストの絵画も平坦な描き方に限定されている。こうしたシンプルな正教会系の教会はやはり時代を経た建築にこそ重みを感じる。

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(ロープウェイでナリカラ要塞へ)
 カソリックの威厳を全面に押し出すかの様な造りより、私はこの様なシンプルさの中に重みを感じられる雰囲気が好きだ。中に入ればピーンと張り詰めた空気に否が応にも神聖な気持ちになる。

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 教会を見た後は先程見上げていたロープウェイに乗りナリカラ要塞に登った。街の至る場所に正教会独特の三角錘の屋根が見える旧市街の中に時折奇抜なデザインの現代建築が混じるところはアゼルバイジャンのバクーと似ている。

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(ナリカラ要塞から降る途中、前にメテヒ教会、背後にツミンダ・サメバ大聖堂)
 ナリカラ要塞は古くからトビリシを防御してきた城壁だが、現在はそれほど残されていない。数多くの観光客や地元の人々が集うのは、此処からのトビリシの眺めを楽しむ為だ。私も大いに眺めを楽しみながら帰路はやはり徒歩にて下界へと戻った。