シルクロードを西へ!コーカサス編jジョージア・トビリシ3

 ナリカラ要塞を徒歩で降りてきた界隈は、モスリムが多く暮らす地域でモスクもある。そんな地域にモスクのドームが連なった様な建物が密集している。ハマム街だ。ハマムとはイスラーム式の風呂で、トルコ等一般的にはサウナ風呂タイプのものが多いが、温泉の沸くトビリシでは入浴するタイプが一般的で、個室のタイプも存在するが、公衆浴場は日本の様に裸で入る共同風呂となっている。

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(トビリシのモスク)
 そして温泉は楽しむだけでは無く、この街の成り立ちに深く関わっている。前回紹介した旧市街の中心的広場ゴルカサリ。その名前は此処にトビリシを築いた人物、イベリア王のゴルカサリから取ったものだ。ある日ゴルカサリが狩りでこの地を訪れ獲物が落ちた場所を探したら、そこに温泉が沸いていた。感銘を受けた彼は、この地に街を築く事に決めたと言う。因みにトビリシの語源はジョージア語で暖かいを示すトビリに由来するそうで、この地に沸く温泉がトビリシの語源なのである。

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 そんな事を聞いて入らない訳にはいかない。寝台列車二連泊で、この暑い中シャワーくらい浴びたいなぁと思っていたので尚更である。しかもスパ等では無く、全裸で入れる。海外で入浴出来るのはとても珍しい事で(湯船に浸かると言う習慣が無い。)、前回ブータンでは木の風呂に入れたが、あれは個人宅のもので、共同風呂はハンガリー以来となる。

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 早速お金を払ってスッポンポンになって風呂に入る。そう言えば日本でも温泉は兎も角銭湯なんていつ以来になるだろう?体を流して、一旦サウナに入って、また流して、それでは頂きましょうか?と足を突っ込んでビックリ仰天!海外だからと侮っていたけれど、源泉かけ流しは異常な程熱い!気合いを入れ直して入る。まるで草津だ!

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 でももしかするとジョージアでは首まで浸かる風習は無いのかも知れない、回りのジョージアの男達が心配そうに見ている。しかし日本男児、やっぱり風呂は首まで浸かりたい。余りの熱さに風呂からあがり水のシャワーを全開にする。ジョージアの男が何やら話しかけてくるのを、もう一人の男が制している。彼等の会話は聞き取れないが、その意味は明白だった。

「オイオイそれは水だよ!お湯浴びたいなら隣の蛇口捻れって!」

「あれで良いんだよ!あの東洋人、さっき一人で熱湯コマーシャルやってたんだから!」

 こうして何セットか一人熱湯コマーシャルを演じ満足して風呂からあがる。日本の風呂と違うところは。風呂の洗い場に垢擦りマッサージ用の大理石のベッドがある。そこに横たわり天井を見上げれば、正にイスラームなドームが見える。ドームは礼拝のシンボルではあるが、風呂にも最適な建築様式でもある。今は夏なのでそんな事も無いが、寒い冬場は内部の暖気が集まるドームに猫が腹這いになって暖を取るのだそうだ。

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(今は夏場なのでワンコが水場で入浴中)
 こんな事を繰り返して茹で蛸の様になって風呂から上がる。中々火照りが止まらない。アイスクリームを頬張りながら温泉街の奥へと進むと、微かに硫黄の匂い漂う小川に出る。

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 両側に崖が迫る小さな渓谷を歩いていけば、その奥には小さな滝があって、観光客が涼んでいた。

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温泉、浸かれるお風呂、硫黄の匂い、小川、滝…トビリシ、日本人の心を良く解っているね!