シルクロードを西へ!ウズベキスタン編最終回

 チョルスー・バザールで先ず始めに私が向かったのは食道街だ。その中でイスラーム帽を被ってモクモクと煙を上げながら、黙々とシャシリク(串焼き)を焼いているオジサンに惹かれて私はその店でシャシリクをご馳走になった。

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 腹を満たした後はいざバザールに突入する。中央の青いドームを中心に、周囲は白いテントが所狭しと張り巡らされ、そこに無数の人々が犇めいている。人々の熱気に飲み込まれそうもなるが、人々の熱気にパワーを分けて貰える気分にもなる。これはバザール特有のものであり、私は現代的なショッピングモールでは逆にゲンナリしてしまう。何故だろう?

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 私はこの日タシュケントを訪れるに際して心配していた事があった。それは明日、此処でウズベキスタン代表と日本代表のサッカーのワールドカップ最終予選が開かれる事。ヨーロッパでも紳士と名高いあの国が、サッカーとなると暴徒化する様に、時にこうしたスポーツの重要な試合では相手国の人は攻撃対象となってしまう事がある。

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シルクロード名物干し葡萄)
 しかし此処ではそんな心配は無用だった。いやそれ以上にナイスタイミングだったのかもしれない。私が日本人だと解ると山の様に人が集まり地元の新聞を引っ張りだし「日本代表の選手は誰を注目すべきか?」とまるで解説者へのインタビュー大会。握手を求められ、写真を撮られ、終いには記念にと店の売り物をお土産として持たせてくれて、始終暖かく歓待して頂いた。

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 そんなこんなで時間は押しに押してしまった。駆け足でクカルダシュ・マドラサに向かう。しかし未だグロムは現れない。それで良い。私はマドラサ前の大きな交差点を行き交う人々を眺めた。ロシア系、トルコ系、アーリア系、中華系…様々なルーツを持った人々、いや一人一人の中に様々なルーツが混在する人々が行き交う交差点。此処は東西文明の交差点。

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 この光景は、時代が変わり街の風景は変わっても、シルクロード交易で賑わった太古の昔から変わらない光景だった事だろう。そんな街角にいると、ふと自分がこの光景の中に溶け込んでしまいそうな気分になる。

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 東西の文明の十字路ウズベキスタン。様々に移り変わる歴史の中で、数々の覇権を受け入れて、様々血が入り混じった。そんな歴史がウズベキスタン人の寛容さ産み出したのかもしれない。グロムが頭をカキカキ走ってきた。旅の終わりが近づいてきた。

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ウズベキスタンシルクロードのど真ん中。東西の十字路と呼ばれるのに相応しい国だった。