モロッコ旅行記10

駱駝に乗ってサハラを進んだ。

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 駱駝を操る水先案内人は藍色の民族衣装が眩しい砂漠の民トワレグ族の男だ。

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 旅に出るまで砂漠は単に砂の大平原程度に感じていた。しかし駱駝に跨がり砂漠に足を踏み入れれば、其処には幾重にも砂丘が連なり、それはまるで大波がうねる大海原が時を止めてしまったかの様な光景が拡がっていた。

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 それは正に砂と風が造り上げた芸術だった。

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 駱駝に跨がり1時間半、息を飲みながら砂漠を行った。

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 遥か昔、旅の商人達が歩んだ道を、彼等と同じ方法で歩んでいると思うと、旅人の魂が揺さぶられた。

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 砂嵐を避ける為か?大きなビルを飲み込んでしまう程の巨大な砂丘の麓にキャンプはあった。早速荷物を置いて砂丘に登った。

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 砂に足を取られ中々先に進めない。靴を脱ぎ捨て登っていけば徐々に陽が傾いてゆく。

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 サハラの赤い砂が夕陽を浴びて真っ赤に染まりやがて青へと変わっていく。その光景はとても幻想的だった。

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 陽が沈みテントに戻れば此処でもタジンが振る舞われた。大好きになったタジンを鱈腹食べて、ご一緒した旅人と旅話に花を咲かせ、キャンプで暮らす猫と戯れ夜は更けていった。

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 真夜中、トイレも兼ねてテントを出た。吹き抜けていく風以外聞こえてくる音の無い静寂の世界。広大な世界にいるのに何故か圧迫感さえ感じる。

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 今宵は偶然にも満月。真夜中の砂漠は月明かりを浴び、ビロードの様に鈍く輝き、まるで違う惑星に降り立ってしまったかの様だった。

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 私は用を足す事も忘れ暫しその場に立ち竦んだ。見上げれば月が静かに、優しく、私を見下ろしていた。