古き友人

? この2ヶ月、雨と曇りの日数を引いたなら、間違っても二桁の数字には至るまい。突然寒くなった。このシーズン、疲れが貯まると厄介な古き友人が訪れる。彼の名は喘息。普段は全く疎遠になっているものの、季節の変わり目、体調を崩すと不意に顔を出す。

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 幼い頃は喘息を始め、気管支炎、肺炎、呼吸器系の病気の博物館だった。入退院の繰り返しだった。病気って奴は体力はもぎ取られるは、時間はロスするは、金はかかるはで良いところが一つも無い。でもそれが一生ものの病気なら、病気と闘うより友達として付き合い方を学んだ方が良い。

 喘息治療の一貫として私は海に良く連れていって貰えたので泳ぐことが好きになった。サーフィンに夢中になった。素潜りにも夢中になった。喘息持ちには危険と言われたダイビングの免許も取った。そんな中それぞれ全然違う呼吸法を学んだ事は大きな収穫だったと思う。

 私の前職は工場の夜勤だった。空気の悪い工場の仕事、時に疲れが貯まった秋口になると古き友人が顔を出した。病院に向かって看護婦さんに驚かれた。

「あんた良く病院に来たわね!」

 と。どうやら血中酸素濃度が驚く程低かったらしい。多分幼少期に嫌と言う程古き友人に苦しめられ、そして様々な水中スポーツで覚えた呼吸法も相まって、酸素が乏しい環境で、どうやればやり過ごせるか、知らず知らずの内に体得していたのかもしれない。何事も経験なのだ。そしてそれは多分旅の上でも役立っている。

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(ラサ 3656m)
 ペルーのクスコ、チベットのラサ、私はこれ迄3千メートルを越す標高にある都市を訪れたが、空気の薄い中大きな問題も無く旅を楽しむ事が出来た。

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(クスコ 3399m)
 そして次回の旅も上記の二都市程では無いにしろ、時に3千メートルを越す峠を越したり標高が高い場所を中心に旅をする。昨今の低気圧の連続も、毎晩訪れる古き友人も、今から低酸素の状況に順応しておけ!との旅の神様のメッセージなのかもしれない。