ソウルフード 続編

 前回ソウルフードについて書いた。本家のソウルフードには重い、重い、由来があったが、今ではローカルフードまでソウルフード等と呼ぶ場合がある。それなら私の個人的なソウルフードを挙げてみようと思う。

間違いなくそれは袋麺だ。決してカップヌードルでは無い。カップヌードルは高級食材だ。私が言いたいのは、スーパー等で5袋200円代、一食あたり50円弱のそれだ。

「欲しがりません!旅立つ迄は!現地へ行けば安くて美味しいものいっぱい食べられるから!」

とばかりに旅費を浮かせるべく、厳しい経済状況を乗り切るべく、幾度袋麺の世話になった事か!資本力の無い私が、ここまで旅を続けられたのも袋麺あっての事だと思う。袋麺は正に私のソウルフードだ。

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旅して初めて解る事も多い。即席麺と言えば日本!と言いたいところだが、即席麺の世界に於けるシェアは日本製では無く、なんとスイスの会社ネスレが販売するマギーと言う商品らしい。そんなマギーの思い出を語ろう。

オーストラリアでワーキングホリデーを楽しんでいた頃、シドニー滞在時も、オーストラリア一周時も欠かさず持ち歩いたのはゆきひら鍋とマギーの即席麺だった。なんと言っても安い。お湯さえあれば何処でも食べられる。日本に居ようと海外に居ようと、私の胃を満たすのは即席麺だ。

このマギーと言うブランド。これでもか!と言うくらい味の種類が豊富なのだが、どれを食べても薄味でしかもどれも似たような味しかしなかった。不味い!でも安いし外国産の即席麺なんてこんなものだと割り切って旅を続けていた。

とあるバックパッカー宿で西洋人がマギーの即席麺を食べていた。西洋人だから箸は使えないのでフォークを持って、スープはスープスパ程度にヒタヒタにしか入れてない。そんな光景を見て最初は呆れていた。やっぱ外人がラーメン食べるとそんななんだなぁ…と。

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で、ちょっとしてハッとなった。そんなマギーも西洋の会社が販売したものだ。そうだったのか…。

その夕食。私は自慢のゆきひら鍋にいつもよりずっと少なくお湯を沸かしマギーを作った。ちゃんと味がした。日本のラーメンの感覚でお湯の分量を入れていた私がいけなかったのだ。

中国から伝わったラーメンは日本で独自の発達を遂げ、取分け即席麺に関しては日本は世界の最先端を行っていると感じている人も多いと思う。

その自覚が強ければ強い程落とし穴は深い。しかし冷静に考えれば麺を啜って食べる習慣は日本独自の習慣であり、欧米では忌避される食べ方でもる。箸を使う事も東アジア固有の習慣だ。食べ方が異なれば料理のスタイルもまた変わっていて当然なのだ。日本の拉麺のスタイルは世界的に見れば圧倒的マイノリティ、ガラパゴスなのかも知れない。

狭い島国を飛び出せば、常識と言うものは土地其々で大きく異なる事を痛感させられる。日本の常識に囚われていては美味しくマギーを味わえない。日本の常識を超越出来なければ世界の旅を満喫出来ない。

(それでも尚日本の即席麺の方が美味しいと思うが…)