GIVE!

 皆様、お悼みの言葉ありがとうございます。心配かけてしまってごめんなさい。実は少し以前の話でありまして、心の整理は出来ています。私は大丈夫ですので心配なさならにでください。ただ、此処でちょっともう一つ父の思い出を振り返らせてください。

 私の父は学者でした。学者の多くはちょっと世間ずれしてる人間が多いですが、私の父も例外では無く、人付き合い、生き方、そして手先まで満遍なく不器用な性格でした。ただ凝り性は人一倍で、そんな多くを(特に悪い部分のみ)私は受け継いでしまったと思います。

 父親としては全くのダメ親父と言って良く、その足りない部分を母親が肩代わりしなければならなかった。だから私と母との反発は、普通の人の父との反発に似ていた様な気がします。そう言う意味では母も苦労したのだろうし、嫌われ役を上手く演じてくれていたのだろうと今となっては思います。

 そんなダメ親父との数少ない親子の経験だったからこそ記憶に残っているのかもしれません。

 そんなダメ親父の父は、世間一般とはかなりズレがありボケているつもりは全く無くても家庭では完璧なボケ役でした。私が妹と北斗の拳ネタを話していました。

「トキは病さえ患っていなければラオウと互角に戦えたであろうに・・・」

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 と妹と話していると父が割り込んで来て

「日本には朱鷺は三匹しか残っていないからなぁ・・・」

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「父ちゃん!そのトキ違うやん!」

これは母とスケ番刑事の話題で南野陽子さんの話をしていた時

「チビさっくん、結構年上好みなんだな!」

「それは南田陽子さんでしょ!」

 全く始終こんな感じでズッコケル様な事ばっかだったと思います。

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 あれは友達と遊び過ぎて暗くなってしまったので友人を近所まで見送りに行った時、珍しく父が付き添ってくれた時の事。

 友人のひとりにゲブと言うあだ名の友人がいました。確か「しげのぶ」のげとぶでゲブと言うあだ名になったのです。私達がしきりにゲブ、ゲブとその友人だけ風変わりなあだ名で呼ぶので、父は私達が友人をからかってると勘違いしたのでしょう。

「ゲブ、ゲブって笑って呼んでるけどな、ゲブってとっても素晴らしい、とっても素敵な言葉なんだぞ!君達!」

「マジで!本当!」

 はしゃぐ友人達を尻目に、まさかトキとか南田洋子の二の舞じゃないよな?冷や汗掻きながら上目遣いで父を見上げると、父は夜空を満面の笑みで見つめてこう言いました。

「本当かどうか、答は自分達自身で探しなさい。」

ほらまた始まった。父が大好きな・・・
今風で言えばググれカス!

 それ以来遊び盛りの糞ガキの私は父の残した謎などスッカリ忘れて成長しました。

 そして時は経ち、とある外国で相手の話している英語を聞き取っていて、急に思い出したんです。ピンと来たんです。

ゲブ・・・いや違う、父の言わんとしていた単語はGIVEだ。父の専門分野は英語学だ。間違いない。

GIVE「与える」

そっか・・・

やっと答が見つかった!

確かに良い意味の言葉だね。

父の性格と照らし合わせ父の言わんとしていた事を量った。

漸く解けた。解くのも難しかったけど、実践するのはもっと難しそうだけど。

欲しがる人間では無く、与えられる人間になれ

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