遥かなるトンブクトゥ25ナイロビ

 旅をしている人とそうでない人には大きなギャップを感じる事がある。危険だと感じる街についてもそれが当てはまると思う。紛争とかテロとあ報道されると、人々は一気にその街を危険だと感じてしまうが、マリのいずれの街にも私は危険を感じなかったし、事実紛争さえなければマリの治安は安定していた。

 しかし一方紛争等起きていなくとも日常的に治安の悪い街は存在する。そしてとても街歩き等出来るレベルでは無い街も多い。ブラジルのサンパウロ南アフリカヨハネスブルグ、そして今回私が乗り継いだケニアのナイロビもそんな街の一つだ。旅人は愚か現地人も危険なダウンタウンでは街を歩く事が無いと言われる。

 勿論私もそんな街は歩く事はしない。以前訪れたヨハネスブルグのホテルのエレベーターで出会った女性が私に何処へ行くのか聞いてきた。私がちょっと散歩にと応えると、彼女は見た目もそうなのだが、アジャコングばりに首を掻き切る仕草をして「止めときな!殺されちまうよ!」と言い切った。その言葉を慎重に受け止め、なんとかホテルの兄ちゃんにガイドして貰える人探して貰ってヨハネスブルグを回ったのだが、こんな街ではガイドは必須。今でも何も知らない頃の私にしっかり危険を教えてくれたアジャの姉貴の事は決して忘れず今も覚えている。

 かと言って長いナイロビでの乗り継ぎ時間を空港で缶詰になっている訳にもいかないので、此処でもしっかりガイドを雇ってナイロビを観光する事にした。とは言ってもナイロビダウンタウンには危険を侵してまで見ようと言うものは無い。だが、空港とダウンタウンの間でなんとサファリが出来るのだ。

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 サファリと言えば、アセンボリやマサイマラが本格的サファリとして有名だが、それらは動物が動き回る早朝や夕方にサファリを行い、日中はホテルでプールに入ったりして寛ぐと言うお金持ちの旅のスタイルで私の様な身分の旅人が出来る事では無い。なので進んで私はサファリを体験する事は無かったが、トランジットを利用してサファリが出来るならお手軽だし、なんと象以外の大物も見れるチャンスがあると言う。

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遠くにダウンタウンの高層ビルを眺めながら眺めるアフリカの動物達の姿はなんかシュールなものを感じた。アフリカに行くと言うと猛獣が怖い、病気が怖い、等様々な怖いを聞くが、結局一番怖いのは人、人なのである。

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 結局肉食獣に出逢う事は出来なかったが、インパラやバッファロー、キリン等思ったより多くの動物達に出逢う事が出来、最後には絶滅危惧種でありサファリのビッグファイブの一つに選ばれている白サイにも出会えた。

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 多くの動物達を見た後に向かったレストランは、なんと地元の有名店の多くの動物達の肉が食べられるレストラン。なんか見てきたばかりで可哀想と思うのは最初だけで、肉を目の前にすると肉食獣の血がたぎる。システムはブラジルのシェラスコの様に串刺しの肉を店員が持って徘徊し、皿が綺麗になった客を見つけてはワンコソバの要領で次々に肉をサーブしていくと言うもの。

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 ビーフにポークにチキンとジャブを打って、ワニだのバッファローだの、だんだん此処でしか食べられないディープなものが運ばれてくる。貧乏性な私は結局身動きが取れなくなる程食べてしまう。

 いっぱい食べたら今度はキリンにお食事をあげに行く事にする。ナイロビ近郊にジラフマナーと呼ばれる有名ホテルがある。キリンの保護施設に隣接し、朝食時に窓を開けるとキリンがニューっと窓からご挨拶!と言う事で大人気のホテルなのだそうだ。その保護施設で外部の人間も餌付けする事が出来る。

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 私は私の大切な友人が大のキリン好きで、友人にキリンの写真をいっぱい見せてあげたいとナイロビトランジットが決まった瞬間、此処を訪れる事を楽しみにしていた。

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 訪れると先に餌付けしていた人がいたのだが、私の訪問にキリンは私の方をキッと振り向いてくれた。私は順番が来ると貰った餌を躊躇無く口にくわえ、キリンと向き合えば、キリンとキス!キリンさんの舌は草を巻き取って食べる為、小さなボツボツがいっぱいあってザラザラした感触なんが、それが私の口をザラリと舐め取って器用に餌を巻き取って行く。なんかこっちも気持ち良いのでついつい何度も...私もすっかりキリンに心を奪われていた。

 そんな訳でケニア、ナイロビではすっかりおのぼりさんになって、動物三昧で一日を過ごした。残すはバンコクでのトランジットのみ。