ペトラ遺跡王家の墓

 平原部のローマ遺跡を見終えた後、周囲を取り囲む岩壁に掘られたナバテア人の墓を訪ねた。こちらが本来のペトラ遺跡と言えよう。だがとても全部を見る事は出来ない。余りに広過ぎるからだ。だが見所は集中している。それは高貴な人々が眠る場所で通称王家の墓と呼ばれる場所だ。

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(ローマ遺跡から王家の墓の展望)
 風化が進んでいるがエルハズネの様なファザードを持つ墓、ローマ帝政宮殿建築を彷彿する墓等が並び建つ。中でも二重のアーチに支えられたテラスが印象的な墓からは骨壺が見つかった。5世紀には教会として使われていた事から骨壺聖堂と言う変な名前で呼ばれている。

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(骨壺聖堂)
 これらの墓は周囲を囲む岩壁に沿って掘られているので其処からの見張らしは素晴らしい。ペトラの街の人々は先祖様に見守られながら暮らしていた事になる。この広大な眺めを堪能しながら先に進むと道はやがて大きく岩山を回り込み登り坂となっていった。

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(ローマ遺跡方面の展望)
 前方には私の地図には載っていない大きな木戸が聳えている。ラッキーな事に開いている。扉があると言う事はその先に何かあると言う事。開いていると言う事は入って良いと言う事。帰りに閉まっていたら大変な事だが、それはその時考える事にして私は先に進んだ。何故なら私の勘に間違いが無ければ其処にはきっと私が求める景色が待っているから。

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(ローマ劇場方面の展望)
 途中見下ろせば遺跡が豆粒の様に見える。坂の遥か下方にローマ劇場が見渡せる。山の斜面を巧みに利用したそれはまるで擂り鉢の様。永遠に続くかの様なつづら折りを登りながら一抹の期待を感じつつ先に進んだ。

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 やがて道は途切れ一件の茶屋があった。茶屋があるからには某か見所がある筈だ。道無き道を進んでいくと、道は其処で途切れ数組のカップルが道の切れ端に腰かけていた。私はドキドキ感じながら彼等のいる場所に近づき彼等に声をかけ、そして恐る恐る道の切れ端の下を覗きこんだ。