ペトラ遺跡シクを抜けて

此方を聞いて気分を盛り上げお読みください(笑)

 ペトラ遺跡は強靭な体力を必要とする。ゲートからシクと呼ばれる峡谷まで徒歩約30分、そこからシクが1・5キロ。その峡谷を抜けてやっと本格的な遺跡が始まる。四方を岩山に囲まれた広大な内部の平原を抜けて山道を登り、最深部にある神殿まで観光を含め往復すれば軽く10キロは歩く事になるだろう。

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 だから遺跡では様々な動物達が観光客の足となって活躍してくれる。彼等には縄張りがあって(とは言っても動物の縄張りでは無い)地形によって活躍する動物が変わる。ゲートからシクまでは乗馬。シクは馬車。内部の平原はラクダ。そして登山道はロバが勤める。なので動物に乗る事が大好きな人にはたまらない遺跡観光になる筈だ。

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 まるで月に降り立ったかの様な光景の中を歩きながら所々に残された古代の遺構を眺めながら歩いて30分、シクと呼ばれる峡谷に辿り着いた。映画でインディ・ジョーンズがクライマックスに走り抜けた道だ。私のテンションもクライマックス状態だ。

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(映画より)
 脳裏に鳴り響くインディのテーマと共にシクに踏み入れる。高いところで100メートルの断崖に挟まれた幅約2メートルの細い道を歩む。秘密基地の探検に憧れていた少年の日々が甦る心地だ。時折観光客を乗せた馬車の蹄の音が両側に聳える岩肌に反響し駆け抜けていく。岩肌の下部には細い溝が延々と掘られている。それは古代の人々がこの通路の奥に広がる彼等の街の為の水道管を敷設した跡だと言われている。

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 そこで疑問が沸いてきた。ペトラ遺跡、言い換えれば彼等の街はこのシクと呼ばれる細い長い通路を抜けてしか辿り着けない場所にあった。そして外部から水道管を引っ張らなければならない場所に彼等は隠れる様に住んでいた。しかしペトラは交易都市であったとされる。交易都市だとしたら、今まで訪れたパリュミラやジェラシュの様に交通の要所にあるべきだし、そちらの方が彼等に都合が良かった筈だ。では何故彼等はこんな秘密基地の様な場所に交易都市を築いたのか?