パリュミラ遺跡2

 遺跡のメインストリートを歩んでいくと、その両脇に当時の街の施設が残っている。先ず目に入ってくるのがローマ劇場。劇場と言えば現在コンサートやスポーツ競技場も基本的にはこの遺跡にあるものと変わらない。それだけにローマ劇場は完璧なスタイルだったと言える。それが紀元前に既に出来上がっていたと言うのは驚きだ。

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 その先にはこれもローマ遺跡には付き物のアゴラと呼ばれるものがある。取引場や集会場として使われていた場所だ。

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 更に先には四面門がある。ローマ遺跡では大きな十字路に築かれる門であり、此処が街の中央である事を意味する。ベル神殿から四面門迄が高貴な人の居住区、そして此処から先が一般市民の居住区となる。どうやらこの時代から山の手と下町は区分されていた様だ。

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 その区別は現代の修復にも当てはまるのか、それとも建築時の強度の差か、四面門を過ぎると列柱も倒れたものが多くなり、保存状態も悪い。崩れた列柱を乗り越える様にして先に進む。此処まで来ると訪れる観光客もグッと減るが、遺跡としての臨場感はアップする。その先に葬祭殿が残り遺跡はそこで終わる。その先には砂山がありその頂上に砦が聳えている。

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 馬鹿と煙は・・・と言うが旅人もそれと同じ、早速砂山に登る、暫くすると向こうからバイクが走ってきて「山に登るのはプロブレムだ!」と言う。何かの要因で立ち入り禁止になってしまったのか?」と訝ったが、どう見てもただのオジサンだ。しかし彼はすぐにボロをだした。「バイクなら問題ない。安くしとくよ!」私はこの二本の足があるから大丈夫だと答え先に進んだ。

 途中砂に足を取られ、素直にオジサンの忠告に従っておけば良かったかと思いつつ登頂に成功、下から眺めれば大したこと無い砦に思えたが、実際登って見るとそれは鉄壁な砦である事が判明した。砂山は足を取られるばかりで無く、隠れる場所が全く無い。更に漸く頂上に辿り着いても深い空堀が待ち構え、その先に堅牢な城郭、そして複雑に入り組んだ内部、正に難攻不落の砦なのであった。

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 この砦は遺跡とは時代背景が異なり、十字軍の遠征に備えアラブが築いた砦であり17世紀にオスマントルコが改修したものだ。この砦からパリュミラ遺跡の全貌を眺める事が出来る。遺跡の展望を楽しみ砂山を下る。下りながら下界を見下ろせば、先程のオジサンが砂山の回りを走り回る姿が見える。きっと彼はお客さんが見つかるまで「プロブレム!」と声を掛け続けるのだろう。健気な商売ではある。