シルクロードを西へ!コーカサス編ジョージア・メスティア~

 往きは寝台列車で楽々だったが帰りは時間が合わずマルシュルートカで一気にトビリシまで戻る。乗り合いバスで約9時間の移動は結構シンドイ。今こそ平和なこの道も、先に述べたアブハジア紛争当時はアブハジアからの難民等が隣接するこの地域に流入し、治安が悪化し、メスティアから下るこの道は強盗団に教われる可能性が高い危険な道だったと言う。

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 ジョージア国内にはもうひとつ、南オセチアと呼ばれる自称国家が存在する。此処も居住する民族構成がジョージア人と異なる民族が多かった事から分離独立を求め、実効支配を行っている。でも不思議に思わないか?日本で例えるなら九州か北海道が、日本の政治に賛成できないから独立すると実効支配してしまう様なものだ。

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 日本なら多分自衛隊等が出動し簡単に制圧出来てしまいそうなものだ。どうして少数派である彼等が、ジョージア軍の制圧を掻い潜って実効支配出来ているのか?それはそれは裏で彼等に手を貸している者がいるからだ。

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 その答はロシアだ。ロシア=プーチンソビエト解体で失った領土を取り戻そうと躍起だ。ウクライナで発生したクリミア危機も記憶に新しいが、それと同様な手口でジョージアの領土を奪おうとしている。ジョージアは独立すると同時に新欧米、反ロシアの姿勢を取った。そうしたジョージアの政策がロシアを刺激したのは言うまでも無いだろう。

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 結局内戦を武力制圧しようとしたジョージアは、分離独立を狙ったアブハジア南オセチアに手を貸したロシア軍によって返り討ちに合ってしまう。両国は自称とは言え念願の独立を果たした事になる。ではロシアにとって両国の独立は何を意味するのか?

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 独立したからと言っていつまたジョージア軍に攻めこまれるか解らない。ジョージアから独立したのだから、もうジョージアの貨幣は使わない。でも自国の貨幣を作る程の国力もない。なら助けてくれたロシアのルーブルを使いましょう。防衛もそのままロシア軍に頼んでしまいましょう。と言う事になる。即ちロシアの傀儡になると言う事だ。ロシアから見れば、国名こそ違えど自国の領土が広がった様なものなのだ。こうしてロシア=プーチンは虎視眈々とコーカサスの領土回復を狙っている。

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 太古の昔から、東西南北の列強の侵略に脅かされてきたコーカサス。それは昔話等では無く現代も尚現在進行形で繰り返されている。

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 物思いに耽っていると9時間と言う長丁場も思いの外早く感じトビリシに戻ってきた。明日はジョージアを旅する者が、もれなく訪れるだろうカズベキへと向かう。カズベキへはマルシュルートカで行く方法とタクシーをチャーターする方法と地元発のツアーに参加する方法がある。

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 私は悩んだ末、声をかけてくれた地元発ツアーに参加した。マルシュルートカは一番安上がりだが、地元の人の足なので、途中に点在する魅力ある見所を素通りしてしまう。タクシーは人が集まれば次に安上がりだが不確定要素が多かったからだ。それと勧誘してくれたお姉さんが美人だった事も多少はある。

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 明日の日程を確約して、安心して私はトビリシの夜景を眺めにロープウェイに乗ってナリカラ要塞へと登った。夜景を眺めつつ写真を撮っているとボンと言う音がする。カメラを構えながら音の出場所を探っていると、もう一発。なんと小さな花火だった。それもほんの数発の花火。いったい何の為に打ち上げられたかは解らなかったが、念願のウシュグリへの旅を無事に終えたばかりの私にとって、その花火はウシュグリに咲き乱れた小さな花の様で、心に染みた。