シルクロードを西へ!コーカサス編アゼルバイジャン5

  翌日は昨日旧市街を散策中に声をかけられた、バクー郊外の見所を回るツアーに参加した。アゼルバイジャンは観光にも力を入れ始めたとは言え、未々未整備な部分も多く、郊外の見所を見ようとすると、時間がかかってしまったり、タクシー代が高くついてしまったりする部分が多いので、こうしたツアーに参加した方が得な部分も多い。

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 ツアーが始まるまで海沿いの公園を散策し、時間となったらツアー会社の前に集まったのに、一向に始まる気がしない。結局ツアーは1時間遅れで始まった。運転手の言い訳によればやっぱりF-1が絡んでいた様だ。撤去作業で所々通行止めが発生し、通勤に向かう車などで渋滞し、道が混乱していたと言う。

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 最初に訪れたのはマッド・ボルケーノ、日本語に訳せば泥火山。名前の通り渇いた荒野に泥が吹き出しそれが小さな火山状に成長したものだ。見ている最中も時折ボコボコと地中から泥が吹き出して溶岩の様に流れ落ちていく。

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 ツアー参加者は必死に吹き出す瞬間を撮影しようと噴火口にカメラを向けるが、唐突に大噴火するので注意が必要だ。

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 続いて訪れたのはコブスタン。世界遺産にも認定された太古の壁画が残されている場所だ。最新技術を駆使した面白い展示がある博物館で予習してから現地へ訪れる。ヨーロッパは岩窟に描かれた壁画とか多いが、ここも古代人が描いたプリミティブな壁画を見る事が出来る。此処で暮らした古代人は、石と共に生活してきた。木の文化から土(煉瓦)の文化をこれまで見てきたが、石の文化圏に突入した事を実感させられた。

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 此処からはバクーに近い部分へと引き返す。帰る途中に立ち寄ったのはBibi heybat モスク。カスピ海を望む位置に建つバクーの歴史的モスクだ。

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 一旦ツアーはバクー市内に戻り、F-1ではシリーズ中でも指折りの高速コースとなる湾岸道路を突っ走る。そして訪れたのはヤナルタグ。

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 アゼルバイジャンは石油以外にも天然ガスも産出する。その天然ガスが自然に吹き出して自然に火がついて消える事が無いのだと言う。一説には煙草の火が燃え移った等と言う説があるが、タバコを吸っていた人はビビっただろうなぁ。以前は複数あった様だが今ではここしか残っていないそうだ。アゼルバイジャンが火の国と呼ばれるのも理解できる。次に訪れる場所も、そんな火に纏わる見所だ。

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 そして最後に訪れたのはアテシュギャーフと呼ばれる拝火教の寺院だ。とは言っても現在では博物館として利用される。拝火教とはゾロアスター教とも呼ばれ、紀元前6世紀にペルシャを中心に広まった宗教で、火を信仰対象としているのが最大の特徴だが、ペルシャイスラーム化したのと同時期に急激に衰退し、今ではインドに極少数信者が残る程度だと言う。その拝火教の起源がこの地にあるのでは無いかと言われている。先程訪れたヤナルタグの様に火が自然と起きる大地は古代の人々にとって信仰対象となってもなんら不思議な事では無い。

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 ツアーは最後にヘイダル・アリエフ・センターと呼ばれる大統領の名を冠した美術館等の複合施設で記念写真を写し終了した。この斬新な建築を設計した建築家は東京オリンピックでも話題になったザハ・ハディド氏で、流暢なフォルムの建築資材は全て特注品、アゼルバイジャン資本力を此処にも垣間見る事が出来た。結婚式を挙げるカップルが順番にI love baku の看板の前で記念写真を写していた。

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 ツアーで巡った場所はどれも、それだけの為にわざわざ海外から訪れる様な壮大な場所では無かったが、どれもバクーの歴史とこの街を知る為に重要な要素が含まれていて興味深く勉強にもなった。また太古の壁画から最新の現代建築までバランスの良い配分で飽きる事も無かった。良いツアーだったと思う。

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 さて次の訪問国ジョージアを目指し夜行寝台に乗る為駅へと向かおう。