モロッコ旅行記・最終回

 旅も遂に最終地カサブランカに到着してしまった。カサブランカはモロッコの旅の出発地でもあるのだから戻ってきてしまったと言った方が良いのかもしれない。

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 カサブランカはモロッコは勿論の事、マグレブ諸国(アフリカ北西部の国々)の中心となる経済都市であり、アフリカでも有数の貿易港でもある。そんな事もあり内陸部の街と比べブラックアフリカ系の人々も多く国際感覚溢れる港町だ。

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 街は12世紀にアラブの海賊の拠点として始まり以後イスラームの街として発展を続けた。途中ポルトガル、戦中はフランスの統治を受けたカサブランカはヨーロッパの影響も濃く国際的近代都市の様相が濃い。

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 そんなカサブランカの筆頭の見所は、モロッコが国家の威信を賭けて建造したハッサン2世モスクだ。モロッコのモスクは一般的に異教徒は入場できないが、このモスクはガイドツアー形式で入場可能で、悦を尽くした豪華な内部を堪能する事が出来る。ミナレットは200メートルの高さを誇り世界最大級だ。

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 このモスクは大西洋沿岸に建てられている。モスク見学後、暫し大西洋の海風に吹かれ、イスラームをテーマにした旅も、遂に西の果てまで辿り着いた実感に浸った。

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 街の中心まで喧騒の食料品スークを辿って戻った。そろそろ旅も最後の晩餐だ。カサブランカは港町だからシーフードに定評がある。ガイドブックに載っていた港にあるシーフードレストランへと向かった。

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 しかし高級そうな店構えに私は躊躇した。私らしくない。近代都市カサブランカにも城壁に囲まれた旧市街が存在する。そこの安食堂で最後の晩餐を戴こう!

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 高層ビルが建ち並ぶカサブランカではあるけれど、いざ城門を潜れば、其処はマラケシュやフェズと変わらない喧騒と人情に満ちたスークが犇めいている。いや昨今観光客で溢れ返る観光都市となった二つの街より俄然観光客が少ない分、カサブランカの旧市街の姿は本来のモロッコの旧市街に近いのかもしれない。

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 そんなスークを歩き見つけた食道街、そのうちの一軒に狙いを定め、魚が陳列されたショーウィンドーを覗き込めば、早速店員が話しかけてくる。

「いらっしゃいませ!何処の国からお越しですか?」

「日本だよ!どんな魚があるんだい?」

「よこそ!モロッコへ!
これはナカムラ、こっちはナカタ、あれはイナモトだよ!」

「それサカナじゃなくてサッカーな!」

 私の返しの意味が伝わったかどうか知らぬが、お互い大爆笑。こうして私の旅の晩餐は、サッカー選抜選手の寄せ集めとなった。どうやら私とモロッコ人は馬が合う様である。

(完)

本年も当blogを御愛顧頂き、真にありがとうございました。
来年は、ブータンの記事にて始めようと思います。どうぞ来年も宜しくお願い致します。
皆様が良い年越しを迎えられる様に!