モロッコ旅行記12

 再び駱駝に揺られ下界へと戻った。乗り物を4WDに移しひたすら荒野を駆け抜けもう一つの古都フェズを目指した。

イメージ 1



 走る度、峠を越す度、緑が濃くなっていく。途中車窓から眺める湖の青に癒される。(今度こそ蜃気楼ではなかった!)それは何処か日常の世界に戻ってきた様な気にさせるホッとした光景だった。

イメージ 2



 フェズはモロッコ初のイスラーム王朝の都だ。イスラーム創始者ムハンマドの婿アリーの子孫に当たるムーレイ・イドリース1世が8世紀末バグダッドアッバース朝に謀反を試みるが失敗、逃げ延びた先が此処モロッコだった。

イメージ 3


(フェズ王宮)
 しかしこの地で先住民族ベルベル人達の絶大な指示を受け、この地にイスラーム王朝を興した。そして彼の息子イドリース2世が都を建設。それがフェズの始まりだ。

イメージ 4


(スマリン門)
 その後フェズはスペインに於けるレコンキスタキリスト教の国土回復運動)により移住してきた人々と、チュニジアの聖地カイルアンから移住して来た人々によって発展を続けた。前者はアンダルース・モスクを中心に街の西側に、後者はカラウィーン・モスクを中心に街の東側に住み着いた。この両者をフェズ・エル・バリと呼び、現在旧市街と呼ばれるのは一般的にこの部分の事である。

イメージ 5


(フェズ・エル・ジェディド)
 その後数々のイスラーム王朝の下フェズは発展を遂げたが、13世紀にマリーン朝の時代に新しい街が建設された。旧市街に隣接する王宮が含まれる地域で、これをフェズ・エル・ジェディドと呼ぶ。更に20世紀フランス統治時代にフランスが建設した新市街が加わり、フェズは三つの地域から成っている。

イメージ 6


(フェズ・エル・ジェディド)
 ヨーロッパ調の建築が建ち並ぶ整然とした新市街を過ぎ、王宮を横に見ながらスマリン門を潜り、フェズ・エル・ジェディドの街区に入れば街の様子は一変しアラブの旧市街そのものの姿となる。細い道、人々の活気、そんな中旅のボルテージも上がってくる。

イメージ 7


(ブー・ジュルード・門)
 人が溢れんばかりのジェディド通りを過ぎると一旦道は開け、その先に進めばいよいよ世界最大の迷宮都市と呼ばれるフェズ旧市街への城門、ブー・ジュルード門が見えてくる。逸る気持ちを抑え門前の喫茶でミントティーを傾け、いざ城門を潜った。