モロッコ旅行記8

 荒野をどれだけひた走っただろうか?前方に緑生い茂る一帯が現れた。ナツメ椰子に覆われたオアシスだ。緑があると言う事は其処に水があり、其処が唯一人の住める場所だから、そんな場所には必ず集落がある。

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 オアシスに近づけば、四方が城壁で囲まれた、日干し煉瓦で築いた家屋が密集し、まるで一つの巨大な要塞の様な姿を呈した集落があった。一つ一つの家屋の上部には塔が施され、その塔には銃眼さえ備えられている。その村落の名をアイドベンハドゥと言う。

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 その昔、アラブ人がこの地を制した時、先住民のベルベル人は争いを避け、アトラス山脈を越え、この地に定住した。それがこの荒野に点在するオアシス都市の始まりとされる。

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 荒野に単独村が存在する為、村は防衛の為この様な要塞状に築かれた。北アフリカではこうした村落をクサールと呼び、中でも司令官クラスが住居を構えていたものをカスパと言う。(地域毎に若干語彙が異なる。)

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 アイドベンハドゥはこの地域の中でも保存状態の良いクサールだが、現在では老朽化から殆どの村民が併設された新村で暮らしているが、土産屋等数件が現在でも旧村で暮らしている。

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 この村の一種異様な景観は「アラビアのロレンス」「ソドムとゴモラ」「ナイルと宝石」「ハムナプトラ2」等様々な名画のロケ地となった。

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 アイドベンハドゥを過ぎ、更にサハラを目指した先にあるワルザザードで一泊した。この街も古くはクサールがあった場所で、街にはタウリルトのカスパが現在も残り、半分は学校、半分は観光客に開放されている。第二次大戦時にフランスが基地を置いた為発展し、現在ではこの地方の中心都市として機能している。

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(タウリルトのカスパ)
 現在ではアイドベンハドゥを中心に、砂漠が大好きな欧米の映画界の撮影の拠点として機能している街でもあり、モロッコのハリウッドとも呼ばれ、スタジオも観光客に開放されている様だ。