モロッコ旅行記5

 見所ばっかりを押さえて綴るとマラケシュは地味に映るかもしれない。タージ・マハールの様な派手なアイキャッチは無いし、ヨーロッパの様な可憐な街並みでも無い。しかし此処はバックパッカーの聖地として有名なだけでは無く、ブラッド・ピッド氏が別荘を持ち、ベッカム氏が何度も訪れると言うセレブなイケメンが好む街でもある。

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 何故そんなに持てるんだろうと疑問に思ったなら、地図もガイドブックもかなぐり捨てて、この街を放浪してみると良い。

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 マラケシュの旧市街の家屋は、その殆どが朱色で統一されている。そして道は他のイスラームの街がそうである様に、迷路の様に入り組んでいる。これは勿論出鱈目に作られた訳では無く、敵襲の際の防御にワザと複雑に作られているのだ。

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(ベル・アッバース廟)
 そんなイスラームの迷宮でも、フェズと共に取り分け複雑な迷宮を持つこの街は、赤い迷宮と呼ばれている。そんな迷宮の中でもスークを歩く時は何故だか血肉沸き立つ様な気持ちになる。スークとはアジアではバザールと呼ばれ、イスラームの商店街の事である。

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 導入部こそ観光客狙いの土産物屋が軒を連ねるが、奥に入るに連れ地元色が濃厚になる。スークの特徴は同業種が一塊となって構成されている事。だから靴屋、肉屋と一区画毎ガラリと雰囲気が変わる。

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 スークは毎日が縁日状態、人、人、人で溢れ帰り縁日の様。幼い頃ワクワクしながら歩いた縁日の賑わいを思い出させる。そんな想いが私の血肉を沸き立たせるのだろうか?それは先進国の洗練されたショッピングモールを歩いても決して沸き起こる事が無い感情だ。

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 ショッピングモールの小綺麗なショーウインドーは人情までも遮ってしまうが、スークは正にダイレクト、息づかいまで聞こえてくる光景は人間臭さが溢れ返っている。あのケバブ屋の兄ちゃんは、親方に串の刺し方を尋ねているのか?それともたまには休ませてくれよと愚痴っているのか?

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 そんな迷宮で一日を過ごし、夕暮れが近づいたなら昨夜も訪れたあの場所へ向かおう。どんなに迷っていても大丈夫。何故ならこの街に住む者なら誰でもあの場所を知っているから。でも旅人がすぐ迷うのを知っていて、道案内を生業にしている、またはアルバイトが大勢いるから、道を訪ねるときは人を選んで。

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 さぁジャマエル・フナ広場へ向かおう!