2008メキシコ旅行記6

 ウシュマル遺跡はパレンケに比べ降水量が少なく、周囲の木々はパレンケに比べ低い灌木が主体だが、それでもその灌木が大地を埋め尽くし密林を成している。

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 遺跡場内に入って先ず出迎えてくれるピラミッドは魔法使いのピラミッドと呼ばれるもので、魔法使いが一夜にして築いたと言う伝説が残されている。

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 マヤ文明のピラミッドは大抵正方形及び長方形を底辺として、段々状にピラミッドが築かれるが、このピラミッドは底辺は楕円であり、段々を築く事無く滑らかに築かれた非常に珍しい形状のピラミッドだ。その形状は他のものと比べとても女性的なシルエットを持つ。

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(二等辺三角形型が特徴のマヤ・アーチから眺めた魔法使いのピラミッド)
 また、ウシュマル遺跡にはピラミッド以外にも尼僧院、提督の館(いずれも推測での名称)等マヤ時代の構造物が多く残され、都市遺跡としての名残を存分に見る事が出来る。特にマヤ文明独特のマヤ・アーチや数々のレリーフは必見である。

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 また遺跡の奥にあるグラン・ピラミッドは丘の一面だけ石組が残された巨大なピラミッドだが、この事からマヤ文明では地形の起伏を上手く利用してピラミッドが作られる場合もあった事が窺われる。(ピラミッドが一面だけ石が組まれ途中で放棄されたのか?或いは一面だけしか発掘作業が進んでいないのかは不明。)

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(片面のみ残るグラン・ピラミッド)
 ウシュマル遺跡見学後、近隣に残るカバー遺跡も見学した。ピラミッドこそ残っていないが、神殿の跡が残されている。そこにはウシュマルでも見た夥しい数の神々のレリーフが残されていた。その神の名をチャックと言う。チャックは雨の神様だ。このチャックの像を幾重にもモザイク状に積み重ね装飾した、この時代の建築をプウク様式と呼ぶ。

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(鉤鼻が特徴の雨神チャック 写真はウシュマルのもの)
 ユカタン半島の大きな特徴の一つにカルスト地形と言う事がある。カルスト地形は水を通してしまう為この地には川が無い。と言う事は水は雨頼み。この夥しい異常な程の雨神のレリーフは如何にこの遺跡の人々が雨を、水を渇望していたかを現したものに違いない。