2006エジプト旅行記10

 ナイル・エキスプレスは案の定大遅刻しアスワンに到着した。添乗員は想定内らしいが若干慌て気味。急遽本日の見所を一ヶ所にしてアブ・シンベルに向かうとの事。その一ヶ所は切りかけのオベリスク

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 昔アスワン周辺は格好の石材が採れる地域で、此処から切り出された石材が雨期に増量したナイル川を利用して下流の神殿やピラミッドまで運ばれたと言う。そして切り出し途中に何らかの理由で止まったままのオベリスクが今に残った。確かに言われてみれば砂漠の真ん中に建つピラミッドを構成する巨石が何処から運ばれたか?それは大きな疑問だったので、喉に引っ掛かった骨が取れた気分だったが、我々が一昼夜かけて列車で走った距離をナイルを伝って巨石が運ばれた道程を思うと気が遠くなりそうだった。

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 我々はちょいと急ぐ様にアブ・シンベルまでの集合場所へと向かった。添乗員が焦っていたのには訳があった。砂漠はある意味無法地帯、太古の昔駱駝のキャラバンが交易をしていた時代から、恐れられていたのはその過酷な自然と共に、神出鬼没で現れる強盗団だ。それは現在でも変わらないし、それにテロリストが加わった。

 そんな訳でエジプト政府は観光客を守る為、決まった時間に昔の駱駝のキャラバンの様に観光バスが警察の警護を受けて一団となってアブシンベルを目指すのだ。だから絶対遅刻出来ないのである。

 お金に余裕のあるツアーは飛行機でひとっ飛びだが、こんなバスツアーも楽しい。ツアーメンバー最高齢のお爺ちゃんはおおハシャギだ。何故なら彼の名字はSAHARA。それ故にサハラ砂漠に憧れてモロッコチュニジアとツアーに参加して今回エジプトに来たと言う。エジプト人にもサハラじいさんがやって来たと大人気となった。私もイスラームの旅を目指したばかりで未だモロッコチュニジアも訪れていない時期だったので質問責めだった。

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 しかしアブシンベルへ向かう道中、隊列を組んでいて本当に良かったと思う出来事が起こった。隊列の中の一台が故障してしまったのだ。この砂漠の真ん中で車の故障は命に関わる。結局ツアー日程どころか、ツアーメンバーもスカスカな我々のバスに故障車のツアーメンバーを便乗させ、一団は無事アブシンベルに到着する事が出来たのである。