2006エジプト旅行記6

 カイロは7世紀にイスラーム王朝が征服しフスタートと名付けられた。10世紀にチュニジアに興ったファーティマ朝がフスタートを占領、勝利の街アル=カーヒラと名付けた。カーヒラの英語読みこそがカイロである。

 ハン・ハリーリバザールと並ぶかの様に旧市街に堂々と建つ建物はアズハル・モスクとアズハル大学。これは世界最古の大学の一つとされている。シーア派のファーテイマ朝時代に作られたが、後の十字軍をコテンパンに撃破したアラブの英雄サラフ・アディーン率いるアイユーブ朝時代に現在のスンニ派の学府と変えられた。

イメージ 1



 その脇に続く路地を進むと朝見たムハンマド・アリ・モスクがあった城壁の下に出る。其処に聳えるスルタン・ハッサン・モスクを訪れた。此方はマルムーク朝時代の建築物だ。

イメージ 2



 更に歩いてイブン・トゥルーン・モスクを訪れた。エジプトに現存する最古のモスクでアッバース朝時代に築かれた。アラビアンナイトで有名なアッバース朝だが、首都バグダッドにも殆ど当時の遺構は残って無い。螺旋階段が内部では無く外周に施されたミナレットは、現在となっては本家イラクと此処でしか見られない貴重なものだ。

イメージ 3



 ムハンマド・アリ・モスクの裏手の大通りの反対側に死者の街と呼ばれる一帯がある。別に心霊スポットでは無い。霊廟が集まる地域だ。数々ある霊廟を飾るドームに施された紋様も時代の流れと共に精緻さ増していき興味深い。

イメージ 4



 この様にざっと見ただけでも歴史溢れるカイロ旧市街だが、カイロは大都会だけあって空気が悪いし乾燥していて埃っぽい。おまけに旧市街は建材の砂色一色で…。そんな風に感じたなら小高い丘に位置するアズハル庭園を訪れよう。

イメージ 5



 イスラーム庭園は水を巧みに利用して楽園を描くが此処も同様、砂色一色のカイロにあってまるでオアシスそのものだ。イスラームは男女を明確に分ける宗教なので、街中でカップルを見る事は珍しいが、此処は隠れ家的存在なのか、多くの家族連れやカップルを見かけ、平和なその姿に心が和んだ。

イメージ 6



 また此処は高台にあるからムハンマド・アリ・モスクや旧市街を一望できる。其処からは千のミナレットを持つ街と言う別名が頷ける光景が広がっていた。