ブルネイ旅行記香港編1
ブルネイ最後の朝ももうお馴染みとなったオバチャンのナシチャンプル。オバチャンと猫チャンにお別れを告げてトランジット先の香港へと向かった。余りにもこじんまりとしたブルネイの空港から訪れると香港国際空港は余りにも人が多くてのぼせそうになる。しかも此処は押しの強い人々の暮らす中国。ブルネイのオットリとした空気のままでは渡れない。豪に入れば豪に従え!チャンネルを入れ換え、人混みを掻き分けエアポートシャトルに駆け込んだ。
(空港にて…何処かで見た様な店名)
香港…香木の貿易港だった事からその名がついた。イギリスで大流行した午後の紅茶。それ故にイギリスは中国から大量の茶葉を輸入し、そして莫大な輸入超過による歳出の増加に苦しんだ。その打開策としてなんとイギリスはあろう事か!阿片、即ち麻薬を中国に輸出し、その利益で紅茶で失った歳出分を補填したのだ。
(何処かで見た様な店には、絶対何処かで見た様なお菓子が売られていた。)
中国に蔓延してしまった阿片中毒者、清王朝は此れを打開すべく阿片を燃やし海に投げ捨てた。しかしそれに怒ったイギリスは報復として香港を攻撃、そして占領。長い香港のイギリス統治が始まるのである。
(2007年天際100工事中)
どんな国の王様だって、自分の国の国民が麻薬漬けにされれば怒るのも当然、それを見越して怒ったら、それ!とばかりに圧倒的軍事力を使い植民地化する。帝国主義時代のヨーロッパがアジアやアフリカの隅々で行った植民地争奪戦、それはヤクザ顔負けの卑劣な行為の数々だった。
(2012天際100完成)
しかしそんな悲劇的な歴史があった故、東洋と西洋が混じり合い、世界に二つと無い独特の空間を作り上げた。山がちの狭い空間に摩天楼が犇めき合う、そんなソリッドな空間の袂には、どうしようも変えられない灰汁の強いアジアの姿が其処にある…。
エアポートシャトルの車内で香港の歴史にうつつを抜かしながら、流し読みしていた車内に置いてあった情報誌、其処に驚くべきニュースが乗っていた。
「天際100完成!」
天際100とは再開発が進む九龍サイドに建設中だった超高層ビルで、07年に私が香港を訪れた際偶然工事中の現場を訪れて、その巨大さに、いったい何が出来るのだろう? と驚いていた建物だった。それが展望台を備えて落成したと言うのだ。九龍駅は香港のひとつ前、私は慌てて電車を飛び降りた。
九龍サイドに出来た新しいランドマーク天際100、真下には巨大なショッピングモール、ビル内にはリッツカールトンホテルが入っている。その展望台から360度の眺めを楽しんだ。これまで超高層ビルと言えば対岸の香港島が殆どだったが、これで九龍側からも高層から香港の展望を楽しむ場所が加わった事になる。
ビルの外に出て此方も九龍側に新しく出来たプロムナード、西九龍海濱長廊から香港島の景色と天際100の全貌を眺めた。5年前の工事中だった、今目前に聳える天際100を眺めながら、自分が5年間に旅してきた道程を振り返ってみた。
因みに、何処かで見た様な店にて店員に、日本語の平仮名が多用されているが、中国の人は解るのか?と質問したところ、解らないけど、香港の人は平仮名を格好良く感じるらしい。そこら辺は英語の意味も良く知らずにアルファベットを多用する日本人と同じである。