ブルネイ旅行記5

 遥か昔、中国のザイトィーン(泉州)から旅に出た帆船は此処ブルネイに立ち寄り、マラッカ、インドを経てアラビアへと航海を続けた。シンドバッドやイブン・バトゥータも此処を訪れたのであろうか?

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そんな想いを巡らせながら桟橋でボートを待っていると、向こうから声がかかってくる。此処ブルネイは裕福なので、他の東南アジアの国々の様な激しい客引きは存在しないし、土産屋さえ数少ない。しかしボートのタクシーの運転手だけは観光客を見つければ、小遣い稼ぎに声をかけてくれる。

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ただ陸上に戻るのも味気なかったので、ボートで水上集落をクルーズして貰った。ボートから眺めると改めて水上集落の規模の大きさに驚かされた。聞けば実に3万人程の人々が暮らしていると言う。

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東南アジア一敬虔なイスラーム教徒の国であるブルネイの小学生が下校時間を迎えた様で、ワイワイ騒ぎながら木の桟橋を歩き家路に向かう。男の子はイスラーム帽をチョコット頭に乗せ、女の子は白いベールでキチッと頭を覆っている。まるでお人形さんの様に可愛らしい。

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ボートと言う普通とは違う低い視点から眺める景色は貴重だが、このタクシーの運チャンはチョイ暴走族。狭い水上集落の水路を爆走するモーターボート。時折擦れ違うモーターボートが立てた波の上をポンポンと跳ね飛び、子供の頃ワクワクして見た007気分で楽しかった


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再び陸上に戻れば、これで殆ど街の見所は訪れた事になる。(他に王様が市民にプレゼントした遊園地等がある。)後一日をどう過ごすか?私の泊まる安宿の階下にあったツーリストインフォメーションに駆け込んで、翌日の熱帯雨林ツアーを申し込んだ。

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こうしている間に一日も暮れ、私は再びニューモスクへと向かった。モスクでは今日の日暮れの礼拝の時を告げるアッザーンが始まる。私もそれに合わせて詠唱する。正真正銘のアッザーンと私のアラビア語がピタリと合わさると気持ち良い。

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そんな時、珍しく日本人観光客と擦れ違った。彼は照れ臭そうに辿々しい英語で「モスクの写真を撮らせてください。」と私に言った。アッザーンを詠唱しながら歩いていたもので、私をモスクの人だと勘違いしたらしい。日常でも時折私はマレーシア人に間違われる。夢を壊してはいけない。

「Yes,please!」

と笑顔で返して私は取って置きの場所に向かいカメラを構えた。


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