風に吹かれて~ザンジバル旅行記16

大変お待たせしてしまいました。
では始めます
風に吹かれて~最終回、香港編です
 
 ザンジバルから再び途方もない時間をかけて香港まで戻ってきた。ポレポレなザンジバルの時間の中で過ごしていると、香港の喧騒は目眩がしそうだ。早速一夜を過ごす為、重慶マンションへ向かった。幾つもの安宿が高層ビルにギッシリと詰まり、いつしか4つのビルが一つになってしまった九龍城無き後香港に残された最期の魔窟。しかし最近は少し大人しくなった。

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 でもやっぱり路上には怪しい客引きが屯し、1 Fには両替からポルノショップまで長期旅行者の必需品なら何でも揃う。危険な匂いが漂うが香港の一等地にあってこの宿泊価格は旅人にとって魅力的だ。

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 荷物を狭い部屋に放り出しヴィクトリア・ピークから夜景を眺め、女人街、男人街と彷徨いながら大好きな香港の粥を食べて宿へと戻った。

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 翌朝、ちょっと早めに起きて出発までの束の間の時間をヴィクトリア湾のプロムナードで過ごした。夜半には百万ドルの夜景を見ようと世界各国から訪れた観光客で埋め尽くされるこの道も、早朝は人も疎らで釣り人が糸を垂れている程だ。滅多に見かけないこの道の長閑な光景に心が癒される。東の空が赤く染まりやがて太陽が昇り出した。平和なひととき・・・

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 この旅をしていた頃、日中感情が最も険悪な状態の頃だった。騒いでいるのはお互い井戸の中に深く潜んで外を知らない蛙達だ。そしてそれを操っているのは勿論政治家と言う老い耄れ共だ。

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 両国の感情を煽りに煽って言うのだろう。憲法改正が必要ですね!日米安保は必要ですね!見え見え過ぎて頭が痛くなる。だがそんな事私にはどうでも良い事。国と国がどう騒いでいようと、面と向かってしまえば人と人、国籍なんか関係ない。旅をする度に、また私の中で国境が消えていく。

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その場にいた中国人や、国籍不明な人々と、昇っていく太陽を和やかなムードで見送った。目前に構えた幼い頃のヒーロー、ブルース・リーがハクナマタタと呟いた気がした。