風に吹かれて~ザンジバル旅行記9
ダラダラに乗ってダラダラと向かった先はジョサニ自然保護区。ザンジバルの海岸線には椰子の木だらけだけど、内陸部の椰子の木以外の森林が鬱蒼と生え広がる一帯にある。またそこから然程離れていない場所に海水域があり、マングローブが生い茂る一帯もある。マングローブは此処では厳重に保護されているが、現地では歴史的に建築材として利用され、輸出品としても重用された。
そんなジャングルで森林浴を楽しみながら海だけでは無いザンジバルの自然の多様性を知る事が出来た。保護区には世界でも此処だけにしか棲まないレッド・コロブスと呼ばれる猿が生息している。毒のある実を食べ、解毒の為に炭を食べると言うややこしい習性を持っている。保護されているからか人慣れしていて生意気顔で愛嬌を振り撒いている。
レンジャーと保護区を一回りして再びダラダラに揺られてストーンタウンに帰ってきた。ダラダラステーションは相変わらず人でごった返している。時おりぶつかったりもするが、皆ポレポレにハクナマタタで済ませている。世界のどの街でもバスの集まるところに人が集まり、人が集まるところにマーケットがある。
そのマーケットが途切れる先には住宅街が広がり、その迷宮を抜けると土産物屋が密集する地帯に出る。土産物屋があると言う事は観光客の集まるところ、即ち歴史地区。ホテルが集まるのも同じ場所。数日かけてやっと迷宮の地図が私の脳内でしっくりと機能し始めた。
迷宮を彷徨っていると人と擦れ違う度に「ジャンボ!」「マンボ!」と声がかかる。両方とも「こんにちは」の意味だがマンボの方が地元色が強い。声をかけられたら鸚鵡返しにするのでは無く「ポア!」と返すと相手が「知ってるな!」って顔をして「カリブゥ!」と返してくる。これは「どうぞ!」とか「ようこそ!」と言う意味があるので、此方は有難う!を意味する「アサンテ!」と返答する。これがセットとなってスワヒリ風挨拶が出来上がる。迷宮を数回同じ箇所を歩いていると「迷ったのか?」と声がかかるのもお節介な程旅人に親切なアラブ世界と共通する。
もう二つザンジバルで耳に蛸が出来る程よく耳にする言葉がある。「ポレポレ」と「ハクナマタタ」だ。「ポレポレ」はのんびりと、「ハクナマタタ」は大丈夫!と言う意味だ。二つとも意味は解っていても日本人が苦手としている分野では無いだろうか?現地では何度もこの言葉に救われ、癒され、助けられた。忘れてはいけない、忘れたくない、アフリカらしい、人間味のある言葉だ。