幸せのアラビアを探して10

 早朝、一番鶏が鳴く頃、夜明けのアッザーンが鳴り響く。イスラームの街に慣れてない人、いや、慣れてる人でさえサナアの朝は飛び起きてしまうに違いない。サナアは敬虔なイスラームの街、モスクの数が異常に多い。そのモスクが一斉にアッザーンを唱え、それが盆地であるサナアを取り囲む山々に反響しまるで空襲警報が発令されたかの様に響き渡る。多分サナアには朝寝坊の人はいないのではなかろうか?(笑)

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 サナア郊外の観光として先ずワディ・ダハールに建つロック・パレスを訪れた。此処はサナアからそう離れていないのでタクシーを使い自力で訪れた。イエメンの交通環境は他の第三ヵ国と同様整備されておらず、車の量が多い交差点でも信号機が無い。ヒヤヒヤしながら乗っているとガツン!案の定タクシーは隣の車とぶつかってしまった。

 これから始まるだろう実況検分やらを考えると時間の無駄だと思ったのでタクシーを降りようとすると、運転手は大丈夫と答えて、事故った相手と二言三言話すと戻ってきた。そんなんで大丈夫なのだろうか?此方が心配になる程アッサリと解決した。この様な事は他の第三ヵ国でも経験したが、車は移動の為の道具に過ぎないと捉えているのか非常にアッサリとしたものである。

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 その後名にもなかった様にタクシーは順調に運転を続け私はワディ・ダハールに到着した。ロック・パレスは昔イマームイスラームの指導者)が住んでいた離宮を観光客向けに開放した建物で、イエメン建築の内部を知るのに打ってつけの建物であると同時に、岩の上にピョコンと建つその風景は不思議建築としても魅力がある。更に建物のマフラージ(応接間)から眺めるワディ・ダハールの光景も見応えがある。

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 さてそこからは私が雇ったガイドの運転(当初の予定したガイドは逮捕されてしまったみたいだが・・・)でサナア近郊に点在する山岳部族の村を訪ねた。イエメンではその山岳部族の自治意識が強く、国力が低い為、時に部族間抗争が起きる。その為旅人の安全を守る為、旅人は登山客の様にサナアから郊外に出た事を事前に申告する必要がある。ドライバーガイドの手解きで申告を済ませ我々はいざ山岳民族が暮らす村へと出発した。