幸せのアラビアを探して3

 ホテルに着くと早速私は外に飛び出した。すると早速出迎え?がやって来る。子供達だ。一斉に

「ソラ!ソラ!」

と捲し立てる。私は「空」と勘違いして空を見上げる。子供達はからかわれたのだと思ったのか更に

「ソラ!ソラ!」

と騒ぎ出す。

「そうだよな・・・イエメンの子供が空と日本語で言う訳も無い。ではいったい?」

と思っていると、子供達は一斉に私の右手を指差す。そうかカメラか!写真を撮ってと言う事か!カメラを構えると女子は澄まし、男子は構える。これは世界何処でも共通している。私が写真を撮り終えると、みんな一斉に私のカメラに寄ってきて自分の写りを確認した大ハシャギしてさっていく。

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 私は地図も持たずに街を行く。地図を持っても仕方が無い。此処はアラブの街。敵の侵入を防ぐ為、予め道は入り組み迷路の様になっている。地図を持っていてもそのうち現在地が解らなくなり無用の長物になってしまう。それでも心配は必要ない。迷った様な顔をしていると、「それ見た事か!」って顔してお節介やきのイエメン人が道を教えてくれる。

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 途中偶然他のイエメン建築のホテルを見つけたので屋上に登らせて貰う。そこからの眺めは息を飲むほど美しかった。何処までも続くまるでお菓子の家の様なイエメン建築、所々に建つニョキッとした塔はモスクのミナレットだ。そしてその向こうに聳える荒涼とした岩山。それはまるで幼い頃母に読んで貰ったアラビアンナイトそのものだった。

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 あっとこうしてはいられない。私の目指すべき場所は私をこの街に誘いこんだ一枚の写真、バブ・アル・イエメンつまりイエメン門だ。