バガン 朝焼け夕焼け

遺跡には不思議なくらい朝焼けや夕焼けが似合う。遺跡は色彩に欠けるので、陰影が強く出る朝夕に撮影した方が良い写真が撮れると言う物理的、合理的側面もある。だが、私は長い間時が止まってしまった遺跡と言う存在が、日の出と日の入りと言う一日で一番時の流れを感じる時間に再び生命が宿り、それを見た旅人を時空を超えた悠久の旅へと誘うから惹きつけられるのだと思う。

その中でも取り分け東南アジアの仏教遺跡は朝焼けと夕焼けが素敵なのだ。世界三大仏蹟のアンコールワットのパッケージツアーには必ずと言って良い程朝焼け夕焼け鑑賞がセットされているし、ボロブドゥールの朝焼けツアーも大人気を博している。

残る此処バガンは、単体での規模では前者二つに及ばないものの、幾数と建ち並ぶ仏塔が醸し出すランドスケープは世界で唯一の風景であり、それを夕陽や朝陽が照らし出す光景は前者二つの遺跡の朝焼けや夕焼けに勝るとも劣らない。

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この夕陽や朝焼けこそが、今回の旅のハイライトと捉えたからこそ、私は旅を1ヶ月延期してまで万全を期した。しかし実はバガン到着時、空は大半雲で覆われ私は全身虚脱する位に落ち込んでいた。しかし自転車に跨がり遺跡を前にすればテンションは上がる。するといつしか空は嘘の様に晴れ上がり、それはミャンマーを去るまで続いた。

ネットで初日の出のバガンを見ると雲が多めに立ち込めていたし、この頃はちょっと不安定な天気の様だ。私は本当に恵まれていたのだ。

バガンで二泊三日、合計朝焼けを二回、夕焼けを三回体験する事が出来た。夕焼けは初日が有名なシェーサンドー・パヤー。翌日はPYA-HA-DA寺院、最終日はBU-LE-THIパヤーで過ごした。ネットで調べて見ると図らずともバガン三大夕焼けスポットで夕陽を鑑賞していた様だ。

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(黄昏時のタマヤンジー寺院)
? 朝焼けは二回ともシェーサンドー・パヤー拝んだ。狙っていたパヤーが一足遅く登れなくなってしまった事もあるが、私の心にドンと響いた風景がシェーサンドーにあり、二日ともじっくり鑑賞したくなった事の方が大きい。

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この様に遺跡保護、或は危険防止の観点から多くのパヤーが登頂禁止となった今、遺跡の配置、高さ、アクセスの良さ、三拍子揃ったシェーサンドーはピークシーズンの夕焼けにはそれが終らないと身動きが取れない程混み合う。

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ただでさえ民主化に伴い観光客が激増しているのに、今後世界遺産に認定されれば更に倍増するのは明かな事。将来的にはヨーロッパの観光名所の様に予約制になったり、マチュピチュの様な入場規制をしかないと収拾が着かなくなる恐れも充分考えられる。早めに見ておいた方が良い遺跡の一つと言えるだろう。

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然しながらバガンの朝陽、夕陽スポットは此処だけでは無い。名の知れぬ小さな登れるパヤーを探してそこで眺めるのもまた良いだろう。そして遺跡を離れてエラワディー川に落ちる夕陽もまた素晴らしいと言い、夕方になるとクルーズ船が出る。本当にミャンマーは素晴らしい夕陽や朝陽の宝庫だ。

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広大な大地に仏塔が建ち並ぶ光景はバガン観光のハイライトであるが、夕陽や朝焼けはそのクライマックスと言えるだろう。陽が昇りそして沈む一瞬の間に刻々と色合いを変えて行く遺跡の姿は幻想的で神々しかった。 今でも時折バガンの情景を思い出せば、暫し時を忘れる。私はきっとこの光景を一生忘れないだろう。

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