懐かしき再会

?私を載せたエアアジアは1時間ちょっとでミャンマー第二の都市マンダレーに到着した。(政治的役割ではヤンゴンに代わりネーピードーが首都となった為第三)

目星をつけていたホテルに入った時、懐かしい笑顔に出会った。それははにかんだ様な東南アジア独特の笑顔だった。東南アジアの国々では少年少女がフロントを熟す事が多い。

あれは9年前、私が決死の想いで取得した今のパスポート。その最初の旅先がベトナムカンボジアだった。その時も、その後ラオスへ旅した時も少年少女のはにかんだ笑顔が私を迎えてくれた。

イメージ 1


(ホテルよりマンダレー
貧しい国では少年少女も大切な働き頭だ。急激な民主化と共に海外からの観光客が急増しホテルが足りなくなりホテルの宿泊代が急騰しているミャンマーで彼等は欠かせない労働力には違いない。

しかし例えそれが他の地域で起きたとしても、そこの若者がそんなはにかみ方をするとは私は思えない。東南アジア独特の優しいはにかみ方なのだ。私はこのパスポート最期の旅になるだろう今回の旅で、このパスポート最初に迎えてくれた優しいはにかみ方に出会えて心から嬉しかった。

イメージ 2


(王宮とマンダレーヒル
宿は思っていた以上の豪華さでちょっと躊躇した。一人の少年がはにかみながら部屋まで案内してくれる。それが私の躊躇した理由。他の国ならこれは嫌いな習慣なのだ。私はだからそんな習慣の無い安宿に泊まる。

何故なら私はトランクを引きずり旅する余裕の無い男。荷物は自分で背負えるリュックだけ。そして部屋では電気の付け方とかエアコンの付け方とかトイレと浴室の水とお湯とか、聞いているうちに「そんなの解るよ!」と怒鳴りたくなる事を説明された後やっと消えてくれるかなと思っていると「へイ、サァー!」と指を揺すってチップをねだられる。

それが仕組みだと解っていてもウンザリする瞬間だ。なんで金持ちは自分で出来る事を金で代えてしまうのだ?そんな心配をよその彼は昨日覚えたての英語を披露する様に例の案内を始める。一通り終り、此処であの嫌いな習慣のタイミングかな?と構えていると彼は

Let?me?go? 

と言う。最初訳が解らず聞き返す。すると彼は更にはにかんで同じフレーズを繰り返す。意味は解釈したので私は彼を笑顔で送り出した。

彼ははにかみながら手を振り戻って行った。勿論チップをねだるなんて気持ち微塵も見せずに。しかし此処も西洋からきた金持ち達がきっと金の力で彼等のはにかんだ笑顔を汚していく。

彼等は金で人から笑顔を買う。誰だって金を貰えば心でそうは思ってなくても笑顔でありがとうと言う。それが重なればチップ等習慣の無い国でもそれが習慣となってしまう。誰だって同じ仕事をして金をくれる人間とそうでない人間なら金をくれる人間に靡いてしまう。そうして彼等のはにかんだ笑顔はやがて媚びた笑顔に変わっていく。

イメージ 3


マンダレーヒルの仏像)
この次此処を訪れる時、私は彼等のはにかんだ笑顔に再会する事が出来るだろうか?

注)彼の最期の台詞に私が戸惑った理由、それはLet?me?goの意味合いは「放してくれ」になる。私が監禁していた訳でも無いのに何を言ってるんだ?と私は混乱したのだ。

きっと彼が独学で英語を学んだ時に「行っても宜しいですか?」をLet?me?goに混同してしまったのだろう。私も同じ様な英語のミスを良くやったものだから、微笑ましく思った。