旧ユーゴスラビアを旅する完全版+スロヴェニア・ポストイナ編

 朝起きるとリュブリャーナの天気は今にも雨が降りだしそうだった。天気予報を見ればずっとぐずつきそうだ。スロベニア滞在で一番晴れて欲しいブレッド湖は後回しにして天気の悪い日には未だ見れていない鍾乳洞を訪れよう。

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 昨日鉄道で走った路線を今度はバスに乗ってポストイナへと向かった。ポストイナは昨日訪れたシュコツィアン鍾乳洞と違い観光に徹した鍾乳洞だ。だけあってチケットブースは長蛇の列、余りにも長いので引き返そうと思った程だ。

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 入り口を入ると此処は鍾乳洞とは思えない近代的な空間。其処からなんとトロッコに乗って鍾乳洞へと向かう。それは事前から知ってはいたのだが想定外だったのはその速度。結構早い。しかも鍾乳洞の壁スレスレに走る。シートベルトも無いので、つい浮かれて立ち上がったりしたら、生首が降っとんでいきそうで怖いくらいだ。

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 しかもこれも想定外で結構ボリュームがある。帰りのトロッコとすれ違ったり、まるでディズニーランドのカリブの海賊みたいだが、此処は本当の鍾乳洞でそれをやってしまっているから凄い。周囲を彩る鍾乳石は全て勿論本物なのだ。鍾乳洞の中にトロッコを複線で走らせられる鍾乳洞の規模なのだ。

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 トロッコに乗るのはただ単に観光客を喜ばせる為だけでは無い。もしトロッコが無かったとしたら、余りにも広大で、メインとなるスペースに辿り着く迄に観光客は疲れ果ててしまうに違いない。また混雑するシーズンではトロッコの発着により、入場数を制限する事にも効果を発揮している。

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 30分刻みのツアーガイド形式なので、大混雑の中でもプリトヴィツェで見られた様な渋滞の発生は無かった。またツアーガイドといっても世界遺産のシュコツィアン鍾乳洞と比べ緩いもので、フラッシュを使用しなければ写真撮影も黙認されている。片方が厳格なので片方でガス抜きさせる方針なのだと思う。

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 規模も大きいけれど、見所も大味なんて事が大規模な鍾乳洞では時折感じるが、そんな先入観も覆してくれた。勿論その規模に圧倒される機会も多いが、芸の細かい繊細な鍾乳石も数多い。シュコツィアンやポストイナがある此処周辺をカルスト地方と呼ぶそうだ。我々が学校で習うカルスト地形と呼ばれる地形は、この地方のカルストが語源なのだそうだ。思わず合点とハンマーを叩きたくなった。

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 勿論徒歩による散策部分もボリュームがたっぷりある。余り興味が無い人、体力の無い人だと未だあるの?と思う程だと思う。天井が高く余りの解放感に逆に怖さを感じるスペースがあったと思えば、閉塞感を感じるスペースにぎっしり鍾乳石が連なっていたり、その緩急のつけかたも絶妙だ。

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 散策途中いきなり鍾乳洞内の電源が落ちた。実はこれは鍾乳洞内の本当の暗さを紹介する演出なのだが、私は撮影に夢中でガイドさんからかなり遅れた場所をほっついていたからマジでビビってしまった。

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 形が違ったり色が違ったり、広大なスペースから狭い空間まで満腹になるまで堪能させて頂き、再びトロッコ列車に揺られながら見学終了、そしてリュブリャーナに戻った。

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 残された時間はリュブリャーナの見学に使う。リュブリャーナは一国の首都と考えると非常に小さな街だ。そしてその印象は非常に可愛らしいと言う事。初めてスロベニアを訪れた街がピランだったが、あの街はアドリア海に面しておりヴェネツィアの影響が強い街だったが、内陸部にあるリュブリャーナは明らかにピランの街とは様式が異なる。クロアチアザグレブ同様オーストリア=ハンガリー帝国の統治を受けたが、それ以上にドイツの影響を強く感じる。

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 街を歩いていると規模の小ささと建物の雰囲気から童話の世界に紛れ込んだかの様だ。そんな想いに耽っていると何処かで聞いた事があるクラシックが流れ、リュブリャーナ川に観光用ボートが横切っていった。トワイライトタイムに運航される特別便だろうか?船内ではバレリーナ白鳥の湖を舞っていた。

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 さてリュブリャーナ滞在は後二日、晴れればブレッド湖、天気が悪ければリュブリャーナとその近郊の都市を回るとしよう。

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