旧ユーゴスラビアを旅する完全版+スロヴェニア・ピランからシュコツィアン鍾乳洞編

 さて前々回ピランに到着した。翌朝起きてみれば絶好の良い天気。何故だか海沿いでは私は晴れ男の様だ。早速ピランを一望できる城壁に向かう。坂を登れば城壁に登る前から絶景が見える。城壁にいざ登ればV字型に細長く突き出たピランの岬が一望できる。その岬に橙色の屋根瓦の家々がぎっしりと建ち並んでいる。

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 存分に眺めを堪能した後は坂道を下り細い路地を散策しながらタルティーニ広場へ出る。広場のすぐ先はもう港だ。晴れてはいるものの風が強く残念ながら岬を一周するボートは欠航だった。ヨーロッパの天気は変わりやすく、空を見れば最早雲が多く出ている。慌てて聖ユーリ教会へと向かった。

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 ロヴィニと同じく街の高台の頂上にヴェネツィアの鐘楼と同じスタイルで築かれた尖塔がスクッと建っている。この尖塔もまた登る事が出来る。此方の尖塔は修復工事を終えたばかりで出来立てホヤホヤだった。

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 私と欧州の女子旅3人組が本日トップの訪問者だったので、尖塔の天辺のドアは自分達で開けてくれと頼まれた。階段を登り詰め、トップバッターの私がドアを開けようとするのだが押しても引いても開かない。何度やってもダメなので女子旅の一人目が挑戦するも押しても引いても開かない。続く二人目も同じ結果。続く最後の三人目がドアを横にスライドさせた。何て事無く開いて一同大爆笑。朝から一同でコントをやってしまった。押してもダメなら引いてみろ、引いてもダメならスライドさせろ!ひとつ格言が出来た。勿論其処からの眺めも絶品だったのは言うまでも無い。

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 再び旧市街に戻り、海の見えるカフェで遅めの朝食を取った。変わりやすい天気は再び快晴へと変わった。陽の光を浴びると海の色が俄然生き生きとする。それにしても美しいアドリア海の景色に惚れ惚れする。

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 そんな光景に後ろ髪を引かれながらも次の目的に向かいバスに乗り込んだ。スロベニアの首都リュブリャーナに向かう途中に世界的規模の鍾乳洞が二つある。今日は先ずそのうちのひとつシュコツィアン鍾乳洞を目指す。鉄道駅からは3キロ程離れているがバスの数は少なく、当然の様に私は歩いて向かった。途中で道は舗装から砂利道へと変わる。あるところで犬がけたたましく吠えた。怪訝に思った私は歩いていたオバサンに道を尋ねた。どうやら私は道を間違えていた様だ。ワンちゃん、教えてくれてありがとう!

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 砂利道はやがて山道に代わり、両側に咲く花や飛ぶ蝶を楽しみながら鍾乳洞へと向かった。やがていかにもな地形を通り過ぎ、息を飲む様な光景が飛び込んできた。物凄い断崖絶壁の真上に教会が建っている。その断崖絶壁の真下にはゴウゴウと滝が流れ落ちている。今から向かうべき場所はあそこなのだと聞かずもがな解った。

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 シュコツィアン鍾乳洞は世界遺産に認定され、自然保護の観点から少人数制のガイドツアー方式で散策を行い、団体ツアーは受け付けていない。写真撮影も厳禁で保護が徹底されている。写真を紹介出来ないのが残念だが、内部は大きく二つの空間に別れ、ひとつは鍾乳洞らしい鍾乳石を多分に見れる空間、もうひとつはシュコツィアンならではの奥深い地底峡谷を散策出来る空間だ。下の写真はエントランスに飾られた写真で地底峡谷を渡る吊り橋部分の写真だ。

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 チケットは二種類あってメインの鍾乳洞だけのものとその先の渓谷部分の散策も出来るものがある。その先の渓谷部分はガイド無しの自由散策で撮影も自由だ。ちょっと日本では考えられない壮大な規模に驚きの連続だったがやはりなんと言っても地底峡谷のスケールの大きさには度肝を抜かれた。こんな空間が地下にあるとは驚きだ。

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 結局帰りも徒歩で駅まで戻った。世界遺産とは言っても意図的に入場者数を制限しているので最寄りの駅も寂しい駅。それでも日本なら駅前には一軒店があるとすればコンビニがあるのだが、ヨーロッパでは大抵飲み屋がある。勿論この駅も例外では無かった。

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 私がそこで地元産のコーラを飲んで火照った体を冷ましていると、地元の飲んだくれの若者の一人が最早泥酔状態だった。絡まれないと良いなと心配していると、ボーイさんが

「彼方のお客さんが今飲んでいるものをもう一杯貴方にサービスしてあげてとの事。」

 とコーラを持ってきてくれた。ハンガリーの田舎駅でもそうだったが、こうした田舎の酔っぱらいは皆気が良い輩が多い。どうせならワインでも飲んでいたら良かったかも(笑)

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 こうしてルーマニア以来となる電車に揺られ今日の宿スロベニアの首都リュブリャーナに向かうのだった。