旧ユーゴスラビアを旅する完全版+アルバニア・ジロカストラ編

 ベラトから南下してジロカストラへと向かう。その途中のバス休憩。入った食堂でアルバニア人が何故かご飯を食べてる。ご飯だ!真似っ子子猿の私はすかさず店主を捕まえ「あれ頂戴!」と指差す。

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 あっという間に頼んだものは出てきた。ご飯だ!見て喜び食べて感動!そっけない、非常にそっけない、日本で言えば茶飯の様なものなんだけど、日々ピザで凌いでいる私は涙出そうになるくらい美味しかった。やっぱり私は日本人なんだと悲しくなるくらいご飯が美味い。後々高価な(私の食事としては)お澄まししたシーフードリゾットとかも美味しかったけど、今回の旅のMVPは間違いなくこれ。結局料理の名前の解らなかったし、二度と出逢う事も出来なかったけど、アルバニアで茶飯に出逢うとは思いもしなかった。

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 そんなこんなでジロカストラに到着。ネットの情報によれば、このバスターミナルの近くの旅行代理店でメテオラ行きのバスチケットが買えるらしいので早速向かう。「メテオラまでいきたいのですが? 」と言ったが店主のオジサンは無いと言い張る。そこでふとネットに書かれていた事を思いだし「カラバンカまでいきたいんです。」と伝える。メテオラは観光地として有名な世界遺産の僧院の名前でカラバンカはその最寄りの町名だ。するとオジサンはカラバカならある!と答えた。どうやらカラバカが一番通じ易い様だ。

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 このオジサンとても良い人だったので、不安に感じていた帰りのバスについて尋ねてみたのだがこれが失敗の元だった。オジサンのやる気スイッチが入ってしまったのだ。往復するバスはある様なのだけど、現地の何処で待っていば良いのか聞いてもオジサンは解らないと言う。そんな恐いチケット買えないと言うんだけどどうしても売りたくてしょうがないらしい。やっとの事でなだめて往きだけのチケットを購入する。

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 でもこのオジサン本当に親切な人で、チケットを購入しただけの私を私が泊まる旧市街のホテルまで車で送ってくれて、なんと翌日はホテルまで迎えに来てくれた。ジロカストラは坂の街、バスターミナルからの距離もあったから本当に助かった。

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 ジロカストラもオスマントルコの影響が強く残る街並みだが、特殊なところは屋根まで石葺きの屋根だと言う事。だから別名石の街と呼ばれている。また先にも述べたが非常に急坂が多い。だから結構景観が良い。街の中心はバザールとなっていてお土産屋さんで賑わっている。1階より2階が道路に張り出すスタイルの建築はオスマントルコ独特のスタイルだが、此処の家屋はちょっと張り出し過ぎていてウケた。はみだしチャンピオンならず張り出しチャンピオンだ。

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 ジロカストラにも漏れずに山の上に城がある。此方はどうやら城主のみが暮らしていた模様。場内には武器や戦車、そして何故か不時着したらしいアメリカの戦闘機が飾られていた。城の隅に建つ時計塔は街の何処からでも眺められ、格好のアクセントとなっている。此処からの眺めも素晴らしいが、街の中心足るバザールの石葺き屋根だけ修復を急いだのか周囲の色と全く違って浮いている。

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 城を出て坂道が多い路地を散策し中心へと戻る。コック帽を被った愛想の良いオジサンに勧誘されて道端のテラス席で夕食を摂る。オジサンはコック帽を被っているが、きっと実はウェイターで、本物のコックは妻のオバチャンだと思う。どうせならローカルな料理をとメニューを見るが何がなんだか解らない。見栄を張って適当なのを頼んだら なんとピーマンのステーキが出てきた。

「おちょくってるのか?」

 と思ったが自分が頼んだのだからしょうがない。でもパンを横にフォークとナイフで綺麗に飾られたグリルされたピーマンを食べる自分の姿を想像してしまうとなんともシュールだ。いや、アルバニアの面子にかけて美味しかったし、綺麗だったし。…でもピーマンなんだよなぁ…。

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 そうこうしていると街の中心の交差点に車が斜めに停まって往来する車の邪魔になってる。どう言う訳か時折クラクションを鳴らす車もあるが、すぐ大人しく迂回していく。翌々見れば乗車してる人物は警察で、と言う事は道路を封鎖している様だ。(なら覆面じゃなくてパトカー使えよと思うのだが…)いったい何が始まるのだ?まさかデモ?それならヤバいがローカルの人に緊張感は微塵も無い。残念ながら私のホテルは封鎖されてる範囲内にある。ちょっと気がかりながら夜も更けてきたしホテルへと戻った。

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 少ししてとてつもない音楽が鳴り響いた。始まったのだ。こうなったら眠るどころじゃないとホテルを出れば、すぐそこはフェス会場となっていた。変なオジサン三人組がロックを演奏している。時折懐かしいロックのフレーズが混じるのでニヤリとする。

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 屋台は押せや押せやの状態で、此処でもオバチャンが何やら揉めていてフランクフルト1本買うのにてんてこ舞い。オジサン方の時折懐かしいロックを聴きながら今日一日も終わりを告げた。