ブータン旅行記8 パロ

本日は一気に初日に到着したパロ迄引き返す。朝辺り一面を覆い尽くした朝靄もそれを突き破りドチュラ峠に登る頃には快晴と代わり、再びヒマラヤ山脈の連邦を眺め、そしてティンプーをスルーしてパロまで戻った。

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(タ・ゾン)

 パロの標高はティンプーとほぼ変わらない2350M。チベット世界で古くから聖地として知られていた場所だ。またチベットからインドに抜ける街道上に位置し、孤立しがちなブータンにあっては窓口にあたる場所だった。空港が出来て、その役割は現在でも変わらない。

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(タ・ゾンからの展望)

 先ず最初に訪れたのはタ・ゾン。タ・ゾンとはゾンに付随する見張り塔の意味。よってゾンより高所に位置する。パロのタ・ゾンは現在は国立博物館として利用されていたが、地震による欠損の修復中の為、仮建物で展示している。また監視塔でもある故パロ谷の絶好のビューポイントでもある。

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(パロ・ゾン)

 その真下に建つのが初日に私が気にかけ、いや国際空港を降り立った旅人なら、先ず目を見張る建物こそパロ・ゾンだ。

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 現在の首都のタシチョ・ゾン、過去の首都及び過去の冬の首都だったプナカ・ゾン。それに比べれば一回り小降りだが、仏教的聖地&交易の中心地に建つゾンとして偉容を誇るゾンであった。

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 また、キアヌ・リーブスが主演した映画リトル・ブッダのロケ地としても知られている。

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(パロ・ゾンからの展望住宅が密集してる部分がパロの中心)

 続いて訪れたのは、予め事前にアレンジして貰ったゾンダカ・ゴンパと呼ばれる寺院だ。寺院はラカンと説明したが、ゴンパは複数の寺院や瞑想場所を含む寺院を指す。僧院と表現した方が的確かもしれない。

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 ゾンダカ・ゴンパは翌日訪れる旅のハイライト、タクツァン僧院と同じく岩壁に建つ寺院でありミニ・タクツァン僧院と呼ぶ人もいる。登る事を覚悟していたが、私の突然のアレンジで詳しく道を知らなかったドライバーさんだったが、地元の人に尋ねて判明したラフロードに挑戦してくれて間近まで車で行ける事となった。

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「なんで態々こんな場所に?」と思う程の岩壁の中腹にへばりつく様に小さな寺院が並んでいる。一つ一つお参りして行くが、タクツァン僧院と違い、一般的なツアーコースから外れている為、多くの観光客が訪れる場所でも無いせいか、一部本当にヤバいと感じる場所もあった。

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 二人並ぶとギリギリの様な狭い道、手摺も無ければ路肩も甘い。ガイドさんが無理矢理崖側に並んで歩こうとする。真面目なガイドさんは身を張って私を守ろうとしてくれるのだ。が、私ももし滑ったらガイドさんを突き落としかねないと余計足がすくんでしまった。

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 崖にへばりついて寺院が並ぶ光景は圧巻なのだが、この寺院は風景だけでは無く、寺院としても重要な寺院だ。

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 ブータン最大のお祭り、仮面舞踏パロ・ツェチュはパロ・ゾン建設以前はこの寺院で行われていた祭儀を移したものと言われる。現在でも祭儀はこの寺院から始まり、パロ・ゾンで盛大に行われた後、此処で幕を閉じる。また、タクツァン僧院同様グル・リンポチェ所縁の寺院で、グル・リンポチェがタクツァン僧院で瞑想を終えた後、訪れた場所が此所だったと言われる。

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 参拝が終わり、引き返そうとすると声がかかった。お茶を飲んでいけと言うのだ。ブータンの伝統なのだそうだ。

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 暖かいミルクティーとクッキーを頂いた。あまり観光客が訪れない場所だからこそだろうが、ブータンの暖かい地域社会を垣間見れて嬉しかった。